2003/10

北アルプス

涸沢・北穂高岳

天気予報では先週後半に引き続き、
今週も週末ぐらいまでは
良い天気が続くらしい。

しかし先週末に山へ出掛けたばかり
だったので、今週は山へ行くことは
特に考えてなかったけど、
久保田先生は月曜日をまたも
休みにしていて、かなり山に
行きたいという感じみたい。

自分の中でも迷いはあったものの、
最終的に晴天という要素に負けて
出掛けることにしてしまった。

最近山へ一緒に出かける今ちゃんも
都合が付くようで一緒に参加することに。

この 3 人の顔ぶれは 1 年振りで、
昨年 10 月の北八ヶ岳以来。

2003 - 10 - 03
( 金 )
千葉
高井戸
立川
中央道
2003 - 10 - 04
( 土 )
中央道
松本
沢渡
上高地
横尾
涸沢 ( 幕営 )
2003 - 10 - 05
( 日 )
涸沢
北穂南稜
北穂高岳
北穂南稜
涸沢 ( 幕営 )
2003 - 10 - 06
( 月 )
涸沢
横尾
上高地
沢渡
松本
甲府
千葉


2003 - 10 - 03 ( 金 )    曇り 時々 晴れ

20 時半になる頃に自宅を出発し、
首都高速を順調に走って行く。

錦糸町付近で、電光掲示板に事故を
示す×マークが赤く光っているのを発見、
よく見るとこれから自分が走る
予定の 4 号新宿線じゃないか・・・
どうやら外苑付近みたい。

三宅坂のすぐ先辺りから車が停止し、
しばらくはノロノロしてしまうけど、
事故処理は既に終わっていたらしく
思ったより短時間の停滞で済んだ。

早く着き過ぎる程の時間だったから
まあ良かったけど・・・

下高井戸の駅の傍で今ちゃんを
拾うことになっていたのに、
うっかり降りるランプを
間違ってしまった。

永福 R で降りるところを高井戸 R で
降りてしまい、拾う場所まで戻るのに
20 分程グルグルしてしまう。

以前はちゃんとスムーズに拾ったのに、
永福Rで降りることを
綺麗さっぱり忘れてしまっていた。

しかしそれでも予定より 30 分も早く
着いてしまい、ちょっと暇だった。

車での移動は電車と違って、
道路の混雑状況によって
かなり所要時間が変わってしまう。

今ちゃんを拾うと、
今度は久保田邸へ向けて走り出す。

当初はずっと一般道を走って行くつもり
だったけど、偶然調布 IC の入り口を
僅かに過ぎた所で渋滞に遭ってしまい、
ちょうど時間も遅れ気味だった為、
少し後ろに戻って
調布 IC から高速を使って走る。

短区間だけど高速走行したおかげで、
久保田邸に予定通り 23 時に到着出来た。

久保田邸からしばらくの間、
先生に運転をしてもらうということで出発。

中央道に入ると、
それまで隠れていた眠気が姿を現して
すっかり眠りに入ってしまった。

ふと気が付くと、
車はかなり中央道を進んでいて、
いつの間にか中央道原 PA まで来ている。

さすがに先生も眠くなったようで、
ここから私が代わって運転することに。

久保田邸を出る頃に腹が減っていたので、
すぐ先の諏訪湖 SA に入って
何か食べることにする。

夜中なのに随分客で賑わっているけど、
どうやら観光ツアーの年配軍団みたい。

爺ちゃん婆ちゃん達も、
こんな時間に移動するんだねぇ・・・
ちょっとびっくりしてしまう。

私は生姜焼き定食を食べてから車に戻り、
給油を済ませてから松本目指して出発。

一般道はこの時間空いているので、
ガンガン走って行く。

コンビニで食料調達を済ませて
一路沢渡へ向かい、着いたのは 3 時頃。

この時期だし、車内は寒いだろうと
思って毛布を一枚持って来ていたので、
3 人で被って寝ることに。


2003 - 10 - 04 ( 土 )      曇り

私達が起きて行動を始めたのは、
5 時半頃だっただろうか・・・
( あまり詳しくは覚えてない )

タクシーで行くかバスで行くか
ちょっと迷っていたけど、
結局バスで上高地へ向かう。

お天気は曇り空だけど、
周囲の景色はそれなりに見えている。

上高地の BT に着くと、登山者や
観光客等の姿が沢山目に入ってくる。

10 月前半の土曜日なんて、
毎年こんなもんだよねぇ〜 ここは。

いつもなら朝 6 時台のうちに
ここを出発してしまうけど、
今日はやや遅いので人も多いみたい。

新しいビジターセンターの中へ
初めて入ってみたけど、
座れるように椅子が沢山あるんだね〜

BT を出発したのは、
既に 8 時前頃だったかな。

河童橋の所へ行くと、梓川の向こうに
御馴染みの穂高連峰が顔を見せている。

今日は曇り空なので、
あまり綺麗な感じでもないけど、
山自体はハッキリとよく見えた。

でも不思議なことに、
穂高連峰の山々が異様に近くに見える。

空気が澄んでいるからかな・・・?
う〜ん不思議だぁ〜

いつもより山が近くに、
且つ大きく見えるんだよねぇ〜

ここからはいつもの
アルプス街道をひたすら歩く。

明神を飛ばして徳沢を目指していると、
梓川の対岸に見える前穂高岳は
稜線の部分が雲に隠れている。

徳沢に着いてちょっと腹ごしらえ。

この辺の緑の草原も
今の時期だと何となく寂し気な感じ。

同じような林道を横尾へ向けて歩く。

上高地から横尾までは景色は殆ど同じで、
道は楽だけどちょっと飽きてくる。

歩きながら、途中で話が
会社の問題( 愚痴か? )になると、
妙に会話がハイになってしまう・・・

( 前の会社のね〜 )
おかげ様で若干あった眠気も
どっかへ飛んで行ってしまった。

横尾に着くと登山者が一杯で、
凄いトイレ待ちが目に入ってきた。

男性側はそうでもなかったけど、
女性側は 30 人程並んでいたかな〜

なんせ行列が本館の近くまで伸びて
いたからね〜  この時ばかりは、
自分が男で良かったなぁと
しみじみ感じてしまう・・・

まあ逆のこともあるけどね。

11 時頃、横尾を出発して涸沢へ向かう。

いつも思うけど、ここから
本谷橋までの区間は書くことが殆ど無い。

自分の中では、ど〜うもこれという
特徴がない区間に感じられる・・・
なんでかねぇ??

屏風の壁を回り込んで
もうすぐ吊り橋という所に来ると、
渋滞で行列が出来ていた。

本谷橋に架かる吊り橋は、
基本的には少人数しか通れずに
対面通行が出来ないから、
団体がいる時や登山者が混雑する
時期等は渋滞してしまう。

ようやく橋を渡った対岸も
休憩する登山者が一杯だ。

休めそうな場所が見当たらないので、
このまま先へ進むことになった。

ここからはジグザグの
石ゴロゴロの山道を登って行く。

この付近は全然紅葉してなく完全に緑。

今日は土曜なので
かなりの登山道の混雑を予想していたけど、
思ったよりはやや少ないなぁと感じる。

昨年、同じ 10 月の
第一土曜に降りて来た時は、
かなり混んでいたからな〜

今年は紅葉がまだ今ひとつだから、
来る人も昨年よりは少ないのかな?

本谷橋で休憩を先送りして昼食を抜いた
影響が S ガレを過ぎた頃にやはり出てきた。

この辺まで来ると、テント泊の荷物は
重いなぁ〜 と実感するようになる。

しかしいつものような
疲れたというかバテ気味というか、
そういう感じとは違って
肩や背中が少し痛いかなというだけ。

ザックとの相性に問題があるのかな?

S ガレを抜けて
直下の開けた所まで来る頃には、
ちょっと寒くなっていた。

ふと見ると、
今ちゃんがザックを降ろして何か
( おにぎり? )食べようとしている。

私も腹は減っていたけど、
テント場はすぐ上だし、
そんなに早い時間でもなかったので、
とりあえず先にテント場へ
向かおうということになった。

分岐を過ぎてテント場へ来ると、
やはり今日はテントの数が多い。

場所を探しながら登って行くけど、
3 人分空いている場所が見つからず、
結構上の方まで歩かされる。 


      テント設営

結局、受け付けの建物よりずっと奥で
ようやくザックを降ろすことが出来た。

テントの設営が済むと、受け付けを
済ませてそのままパノラマ売店へ
おでんを買いに行く。

普段ならヒュッテのテラスで
生ビールとおでん、そして持参の
つまみ類といったところだけど、
兎に角今日は寒いので、
ビールは止めてテント内で
お湯割りでも飲むかということに。

パノラマ売店は凄い賑わいで人が一杯。

おでんを買う為に並んでいたけど
二人がトイレに行っていたので、
戻ってくるまで後の人に順番を
譲っていたら、その間に
ジャガイモが売り切れてしまった。

品薄状態の貴重なジャガイモがぁぁ〜!

あんなに混雑している時には、
やっぱり先に買っておかないと
いけなかったねぇ〜

どうせ持ち帰ってガスで
温め直すのだから。( 残念! )

テントへ戻ると、今ちゃんのテントで
酒を飲むことになった。

私と先生のテントは 1 〜 2 人用で、
今ちゃんのテントは 2 〜 3 人用だから。

なんせ寒くて、外では長時間は
やってられないような気温。

買ってきたおでんは冷えていたけど、
ガスで温めるとホクホク状態となり、
流石はガス、有難い。

しかしいつもと違って、非常に味が薄い。

ここのおでんは味が染みていて、
いつもは美味いのだけど・・・

どうやら今日は人の数が多過ぎて
ネタの回転が早く、味が染み込む前に
売れてしまっているみたいだ。

いつもはお酒を持ってきても
あまり消費することはないけど、
今回は呑ンベの今ちゃんがいるので
どうやら順調に酒の量が
減ってくれそうな気配だ。 笑

本当は宴会が済んでから晩飯を
食べようかと話していたけど、
おでんとつまみを食べていたら
結構お腹が膨れてしまい、
飯は要らんという感じ。

そのうちテントがバチバチと言い出し、
どうやら外では雨が降り出した様子。

しかしよく音を聞くと、
いつもの雨の音と少し違う感じがする。

結果は霙〜〜  道理で寒いわけだ。
おそらくこの調子なら稜線は雪かも・・・

そういえば直下付近を登って来る時、
団体を引き連れていた引率の女性が、
明日の朝は三段紅葉が
見られるかもしれませんね〜
なんて言っていたのを思い出す。

確かに明日の朝は山肌が白く
なっているかもしれないけど、
三段紅葉といっても
肝心の紅葉が色付いてないので、
だめなんだなぁ〜 これが・・・

そろそろ寝ようかという時間になり、
自分のテントへ戻る為に外に出ると、
地面に白いものが見えた。

テントの入り口を開けた時に、
フライから落ちた雪のようだ。

とうとう涸沢も雪かぁ・・・

自分のテントのフライの上には、
雪と霙が混ざって
薄っすらだけど積もっていた。

とりあえずフライをバタバタ揺すって、
霙&雪を落としてからテントに潜る。

先週、枕を作らずに寝たら今ひとつ
だったので、今日はいつものように
枕を用意して寝ることにした。


2003 - 10 - 05 ( 日 )      晴れ

最近は朝目が覚めて
時計を見ることはあっても、
テントの外を見ることが無い。

寒いのと面倒なのとで、
最近夜中に星を眺めた覚えも無い。

何回か外で声がするのを意識した後、
はっきり起きてしまったので
テントの入り口を開けてみると、
すっかり明るくなっていて
外ではもう沢山の人が活動している。

山の方を眺めると、
モルゲンロートに染まってはいないけど、
東の方が赤くなりかけていて、
そのうち穂高がピンク色に焼けそうな気配。

久しぶりに焼ける穂高を見てみようと、
真面目に起きてしまった。

カメラの用意をしてしばらくすると、
穂高が上から綺麗に染まり始める。

見たことが無いだろうと思って、
今ちゃんを外から呼んで起こしてみる。

しばらく撮影した後、
今ちゃんがモルゲンロートと一緒に
記念写真を撮ろうというので、
準備をしようかと思っていたら、
急激にピンク色が薄くなり、
モルゲンロートは消えてしまった。

太陽が雲に隠れてしまったのだ。

やはりそれなりの劇的なシーンと
いうのは、短命なものねぇ。


     モルゲンロート

今回は薄曇の感じの朝だったので、
穂高の焼け方も綺麗な
強めのピンク色になってくれた。

下手に天気が良過ぎて雲が無いと、
モルゲンロートも薄めになってしまう。

そのうち食事の準備や、水の補給、
トイレ等、皆さん各々活動が始まる。

天気は良さそうな気配だけど、
まだ上空には雲が沢山広がっていて、
今は曇りという感じの空。


   涸沢では定番の構図

食事が終わって
北穂高岳へ登る準備が出来る頃には、
青空が広がり始めて期待に胸が膨らむ。


   色とりどりのテント場

テント場にはカラフルな
テントが沢山並んでいるね〜

これでも朝からテントを撤収した
人が結構いるので、昨夜はこれの
5 割増し程の数だったと思う。

手前に見える黄緑色のテントは
現地のレンタルテントだけど、
いつもヒュッテ側に沢山固まっている。

場所が決まっているのかな・・・?

北穂のテント場のように
番号指定されてないんだから、
そんなことはないよなぁ・・・

準備が整うと、私達は北穂高岳へ出発。
北穂高岳へこちらから登るのは 4 年振り〜

前回の時もテントだったけど、
夜中に暴風雨&雷に遭ってしまい、
2 時半頃にヒュッテに非難した。

テントの中で雨に遭う羽目になって
色々とかなり大変だった。


   涸沢小屋のすぐ上の紅葉

涸沢小屋との分岐を過ぎて、
北穂南稜に入る。

登り出しの所には
やや綺麗な紅葉が見られた。

不作の中にあって、
数少ないまともな色付きね。

小屋の傍のヘリポートを過ぎると、
急に登りが始まる。

のっけからなかなかの急傾斜なので、
しばらく登っていると
あっという間に心拍数が高まってくる。

昨日のテント泊の荷物を担いでの
登りがちょっときつかった為、
テント道具一式が無い
今日の荷物はとても軽い。

前方を見上げると、
今日が日曜のせいか人は少ない感じ。

30 分程登っただけでも急傾斜な分、
振り返ると涸沢のテント群が
どんどん小さくなっていく。

今日は北穂を往復するだけで、
私と今ちゃんは南稜を往復、
先生は東稜のゴジラの背コースの予定。

途中までは一緒だけど、どの辺から
別れるのかよく分からないので
探しながら登って行く。

1 時間程登る頃には、開けた道から
両側を草に囲まれる道に変わるけど、
まだ分岐は先のようだ。

途中、昨夜降ったと思われる雪が、
所々に少しずつ残っている。

氷が張っている所もあるねぇ。

基本的に道はハッキリしていて
迷うことはないけど、
ややゴロゴロした感じがあって
岩登りに近い感じの所も出てくる。

先生は時間が掛かるので、
途中から先に行ってしまった。

中腹より少し上の辺りまで来ると、
岩がゴロゴロしていながらも
開けて広がっている所に出る。

見ると、ガラガラの岩場の
上の方に先生の姿がある。

東稜へのルートを
探しているようだった。

南稜と違って東稜は一般道じゃないから、
地図にも線は書いてないしね。

私達は左側の一般道を進む。

稜線に出る手前付近では、
穂高がよく見える。


     北穂南稜の登り

写真では背景の奥穂の斜面が
すぐ後ろにあるように見えるけど、
これは望遠レンズの圧縮効果。

肉眼で見ると全然離れているけど、
決して嘘の絵を
作っているわけではないよ。

行ったことある人なら分かるけど、
これは写真の描写だし
妙味でもあるんだよねぇ〜

こういう効果を自分で操れるようになると、
益々写真は面白くなる。

絞り、シャッター速度、焦点距離
( 望遠か広角か )などなどで
色々と絵が変わるから面白い。

デジカメで撮って、都合が悪いからと
後で絵を書き換えるのとは
少し違う話だと思うけど。

初めて北アルプスに来た時、
小池新道を登って双六岳へ行くコースで、
その時 300 mm の望遠レンズで
弓折岳の稜線( 双六寄り )から
双六小屋を撮影したら、
その時の圧縮効果が凄くて、
鷲羽岳の裾野が双六小屋のすぐ後ろに
へばり付くように写っていた。

上の写真でいうと、ちょうど
今ちゃんの所に双六小屋があって、
後ろの穂高の斜面が鷲羽岳の裾野って感じ。

双六小屋から鷲羽岳を見ると分かるけど、
かなり遠いよねえ−、あそこ・・・

それが、上の写真のようにかなり
くっ付いた絵になっていたから、
当時は何て写真じゃぁ〜 と思った。

こういうことが分かるようになって
ヤマケイの雑誌の写真等を見ると、
これは随分肉眼と違うだろ〜 ってことが
分かるようになるから面白いよね〜

以前ヤマケイの雑誌に、大天井岳の
傍から槍ヶ岳を眺める写真が
掲載されていたけど、あまりにも
槍ヶ岳の姿が大きくなり過ぎていて、
いくらなんでもこれは詐欺だろ〜 って
笑ったことがあった。

でも知らない人が見たら、
本当にあんな風に見えると
勘違いしてしまうよねぇ〜
( やっぱ詐欺だ・・・ )

しばらくせっせと登って行くと、
記憶に残っている鎖場に出る。

少し待ち時間はあったけど
あまり待たずに鎖場を登りに掛かる。
勿論三脚は持ったまま。

鎖場は三脚をストック代わりに
突いていられるので良いけど、
梯子の時は梯子に触れるのが
片手しかないので、こっちの方が
少し緊張しながらの登りになった。

鎖場付近から
谷を挟んで向こう側の稜線を見ると、
微かに動いているものが見えるけど、
おそらく先生だろう・・・

まだ稜線には出てなくて、
緑の間を登っている途中みたいだ。

私達は鎖場を過ぎてから
しばらくの所で休憩することにした。

南東方向が開けて雲海の向こうに、
八ヶ岳連峰や富士山が見える。

南アルプスはまだ前穂の山々が
少し邪魔しているので、
もう少し登らないとよく見えない。

この先しばらくは急勾配の登りで、
見上げると結構首が上を向いてしまう。

稜線を登り詰めて行くと、やっと前方に
北穂の山頂と小屋の姿が見えてきた。

しかし何も考えずに
前の人の後ろを付いて行ってたので、
いつの間にか正規のコースを外れて
少し違う部分を登っていたらしい。

何故なら突然、テント場に
下から登り上げてしまったから。

本来のコースは、テント場へは同じ
標高の方からやって来るんだけどね。

まあ良いさ、だってその道の方が
行き易かったんだから・・・

というかその道、下から登って来たら
間違え易いと思うんだけど・・・
( 私だけじゃないと思うよ )

テント場を抜けると確か奥穂との
分岐点は近い筈・・・ よしよし。

しかし遅れている今ちゃんが
なかなか来なくなったのは何故だろう?

まさかダウンしているのでは・・・
ちょっと心配になりつつも、
少し進むとすぐに分岐に出る。

ここまで来ると、
山頂がかなり近くに見える。

しばらく進んで後ろを見ると、
今ちゃんはちゃん歩いて来ていた。
( 良かった、安心安心! )

軽い降りで一度こけそうになったけど、
気を取り直して最後の急勾配を登ると
ようやく山頂に出た。

今日は天気が良くて
山頂は 360 度の展望が望める。

立山から笠ヶ岳にかけて全然雲は無く、
スッキリと見ることが出来て、
白馬、鹿島槍、針ノ木付近には
雲海が発生していて、
稜線だけが浮かんで見えた。

大切戸から槍ヶ岳も綺麗に見える。


    槍ヶ岳へと続く稜線

標高は奥穂高岳の方が少し高いけど、
場所的に北穂高岳の方が
北に位置するので、
北部の山並みがよく見れて、
景観的には良いような気がする。

上の写真は先程と逆で、
実際にここから槍ヶ岳を肉眼で見ると
もう少し手前に大きく見える。

これは 24 mm に近い
広角側で撮影しているので、
圧縮効果の逆の効果が現れているから。

広角系のレンズは
遠近感が誇張される効果が発生する為、
手前にあるものはより手前に大きく、
遠くにあるものは離れてより小さく
写るという描写になってしまう。

しばらく素晴らしい景色に感動しながら
写真を撮ることに没頭したけど、
一通り撮り終えると
すぐ下の小屋のテラスに降りてみた。

もしかすると先生が
もう待っているかもしれない。

しかしテラスに先生の姿は無く
席も他の人で一杯だったので、
仕方なくもう一度山頂に戻ってみる。

登って来た登山道を見下ろすと、
今ちゃんが山頂直下の最後の登りに
これから入るところだった。

しばらくして再度小屋のテラスへ降りると、
少し席が空いたので腰を落ち着ける。

荷物を降ろして湯沸かしセット等を
準備しようとゴソゴソしていると、
今ちゃんも降りて来た。


   北穂高小屋のテラス

ここのテラスは本当に展望が良い。

朝夕に天気が良ければ、
凄い景色が見られるだろう。

槍ヶ岳の展望台としても、
指折りの場所よね〜〜♪

昼飯はラーメンを作って食べたけど、
何となく物足りずに小屋のカレーを
注文して更に食べてしまう。

自分としては、ここのカレーは
少し甘いなぁという印象を持ったけど、
向こう側のテーブルにいたおばさんは
辛いねぇと言いながら食べていた。

昨年、槍穂縦走の時にここを通過して、
その時もちょうど今頃の時間で
今日のような良い天気だった。

しかしその時とは季節が1ヶ月程遅く
なっているので、周囲の山並みの
景色は随分枯れたような印象。

ここの小屋は山頂の狭いエリアに
へばり付くように建っている為、
テラスの手摺りのすぐ下は切れ落ちている。

予定では先生がそちらの切れ落ちて
いる方から登って来る筈なのだが、
なかなか姿が現れないので、
きっと途中で挫折して
涸沢に戻ったのではないかと
二人で話をしていた。

事前の話だとだいたい同じぐらいの
時間に小屋に着くのではないかと
いう話だったから。


  ヘルメットとザイルが印象的

食事も終わって、お湯を沸かして
コーヒーでも作ろうかとしている頃、
何気に下を見ると先生の姿が見えた。

小屋の裏手の方へ進んでいたので、
大切戸側へ行って写真を撮ってあげた。

個人的にはもう少し、険しい雰囲気を
撮影出来るのかと期待していたが、
小屋からはそういう部分は
ちょっと見えないみたいね。

話を聞くと危険な所もあったようだけど、
一先ず無事に到着出来て何よりだ。

その後、テラスでコーヒーを
飲んだりした後、小屋の裏手へ回って
大切戸や滝谷を眺めに行った。

高所恐怖症持ちの今ちゃんには
大切戸はたぶん無理だろうから、
せめて眺めるだけでも眺めておくと
良いかなぁと思ってね−

一通り落ち着いたので
そろそろ下山しようという話になり、
荷物をまとめ始める。

それにしてもこの素晴らしい天気は最高〜

この景色を見ると高い山は止められない。
降りるのは何とも勿体無いねぇ・・・

再び山頂に戻り、
今度は 3 人で記念写真を撮る。

1 枚だと失敗していた時に困るので、
念の為に北側と南側で 2 枚撮った。


   北穂高岳山頂  3106 m
      背景:槍ヶ岳

山で記念写真を撮る人は多いと思うけど、
日焼け防止や暑い等の理由で
帽子を被っている人も結構いるね。

しかし帽子を被ったまま
順光で写真に写ろうとすると、
大概の場合は顔が暗くなって
下手すると真っ黒に潰れてしまい、
折角の記念が台無しになることが多い。

帽子等顔を隠すものが無ければ、
順光でも良いんだけどねぇ〜


     背景:前穂高岳

帽子を取るのが嫌な場合は、
上の写真のように逆光状態で撮影すると、
顔だけ暗くなってしまうのを回避出来る。

普通は逆光で撮ると
暗くなると思っている人が多いだろう。

勿論何もせずにただ撮ってしまうと、
当然人物は全体的に暗く写ってしまう。

そこで暗くなってしまう
人物だけ明るく補正する為に、
皆さんフラッシュを発光させている。

フラッシュは人物を明るく補正するけど、
背景までは補正しないから
こういう場合に有効だねぇ〜

背景まで補正しないという意味は、
背景まではフラッシュの光が届いて
いないということなんだけど、
ならばどれくらいの遠い所までなら
フラッシュの光って届くのだ? と
いう話は長くなる為、ここでは割愛。

北穂高岳の山頂標識は背景に槍ヶ岳が
あるので、上の写真でいうと最初の
写真の構図で撮る人が多いと思うけど、
その場合はレンズが北を向くから
殆ど逆光にはならないね〜

夏の早朝や夕方遅くなら
北寄りに太陽があるから、
多少逆光気味になるかもだけど。

なので普通にここで記念写真を撮るなら
帽子を取るしかないかな〜 と思う。

それと山頂で御来光を見る時に、
わ〜っという歓声と共にシャッターを
切る音がよく聞こえる。

その時フラッシュを使う人が結構
いるけどあれは無駄だし、使わない
方がまだ良いのに〜 とよく思う。

さっきも書いたけど、
フラッシュの光は太陽までは届かないし、
仮に届いたとしても
光源に光源をぶつけたところで、
真っ白になってしまい、
わけが分からん写真になるだけ。

本人はフルオート状態で撮っていて
別に気にしているわけではないだろうけど、
たぶん出来上がった写真は
太陽だけ明るくて周りは真っ暗〜 と
いった写真になっているだろうから、
自分で露出補正する人は良いけど、
カメラは自動で露出補正してくれないから、
とりあえずフラッシュは OFF に
した方が良いと思うんだよねぇ。

13 時を過ぎたので、
山頂を後にして下山を始める。

3 人一緒だったのは、
降ってすぐの奥穂との分岐までだった。

今ちゃんは降りが苦手で、
時間が掛かるからということで、
私達は少し先に歩くことにしたけど、
それでも一番早いのはやっぱ先生だ。

先生は一人でも全然問題無いので、
先に降って貰うけど、
今ちゃんは視界から消えない
程度の距離を保って降って行く。


上が梯子場で、下が鎖場

鎖場&梯子場の所まで来ると、
前を 1 組の夫婦が降りて行く。

梯子の方は問題無かったけど、
鎖場は奥さんがあまり得意ではないようで
降りるのに手間取っている。

すると旦那の方が下からやたら
大きな声で叫んでいるんだけど、
両手で鎖を掴まないと駄目と叫んでいる。

鎖場では岩場にホールドするのが
基本であって、あくまで鎖は
補助として使うのだと思うけど・・・

結局、私は三脚を伸ばして担いだまま
前向きで一切鎖を使わずに降りたけど、
こっちの方が楽だった気がする。

私達が鎖場を通過する頃には、
先生の姿は随分と下の方に見えていた。
やっぱ速いねぇ〜

足の裏が痛いなぁと思いながら
どんどん降って行くと、涸沢のテントも
どんどん近付いて大きくなってくる。


    色付きの良い紅葉

南稜下部の開けた付近まで降りて来ると、
ちょうど右手側に紅葉した
草木が見えるようになるけど、
今頃の時間帯は逆光になり
紅葉が透過光で綺麗に見えた。

涸沢小屋にだいぶ
近くなったぐらいの所ね〜

テント場へ戻ると、先生のテントは
しっかり良い場所へと移動していた。

今日は日曜日だから当然、
昨日よりはテントの数が少なくて、
良い場所が空いているのだ。

移動しているといっても、
私達のテントの隣には変わりないけど。

30 分程経って今ちゃんが降りて来ると、
一息ついてからヒュッテに向かう。

昨日はとりあえず 1 日分しか
受け付けをしていなかったので、
今日の分の受け付けを済ませてから
パノラマ売店にビールを飲みに行った。

今日は昨日ほどの寒さではないので、
ビールなのだぁ〜〜!!

流石に昨日に比べると人が少ないので、
テラスでテーブルに着くことが出来る。

今日は昨日より人が少ないだろうから
昨日程のおでんの薄さじゃないだろうと
思いつつ、念の為ちょっとだけ買って
試しに食べてみると、昨日よりは
マシな味になっている感じがする。

しかしやはり標高 2300 m だけあって、
しばらくビールを飲んでいると
寒くなってくるねぇ〜  ビールの後は、
しっかり皆さん熱燗に変わっていた。


   今日は外で晩飯

テントに戻ると夕食の支度。

昨日はおでんが多かったせいで
食事は無しになったけど、
今日はきちんと食事を摂る。

この写真、まるで夜みたいねぇ〜

実はまだ夕方で少し薄暗い程度だけど、
撮影の仕方をちょっとしくじったらしい。

北穂山頂のところで書いた日の出の時と
似た状態で撮影してしまったみたい。

まあこの写真は失敗写真だけど、
見方を変えれば、撮り方を操ると
人を騙せる写真も撮れるってことね。

食事の後まだ時間が早いので、
昨日のように今ちゃんのテントで
宴会をすることになった。

だってまだ 18 時過ぎ頃だしぃ〜
山中での宿泊時はそんなもんよね−

普段は山にお酒を持って来ても、
無くなって足りなくなることは滅多に
無いけど、流石に飲ンベの今ちゃんが
いる時はやっぱり違う・・・

見事に酒が無くなってしまった。
補給出来ないのが残念だねぇ〜

今ちゃんは一番長老だけど一番山暦が
少ないから、昼間は大人しい感じだけど
お酒が入ると本領が発揮されてくる。笑

どうも初日に涸沢まで登って来る時、
先生がザックにヘルメットを付けていて
他の女の子に、凄いですねぇ〜 と
言われていたのが、
かなり羨ましかったらしい。笑

結局、今ちゃんも次回からヘルメットを
ぶら下げようよという話にはなったけど、
普通のヘルメットでは芸が無いので、
今ちゃんの場合には緑安全マークが
入った工事現場のヘルメットの方が
似合うということに。 笑

失礼しましたぁ〜! でも似合う〜

また、やはり初日の涸沢への登りの時に、
抜きつ抜かれつでよく休憩時に
一緒になっていたお姉ちゃんが
可愛いという話にもなったけど、
私と今ちゃんは意見が一致したのに、
先生はそうでもないという・・・

先生は理想が高いのか?

そんなこんなで酒も無くなって
時間も更けてきてお開きになり、
各々テントに戻って寝ることに。

夜空を見上げると、星の数も少なく
あまり寒くもないことから、
明日はあまり天気は期待出来ないかも
しれないなぁ〜 等と思いつつ、
シュラフに潜って今日 1 日が終わった。


2003 - 10 - 06 ( 月 )    曇り 後ち 晴れ

朝起きて外を眺める。

予定より早い時間だけど、30 分程
早くても時間はすぐ無くなってしまう。

だいたいテントの撤収は、
思ったよりも結構手間暇掛かって、
遅くなることが多いんだよねぇ。

自分のテントの片付けが
遅いという話もあるけど・・・

空は一面の曇り空で全然寒くない。

今の時期に
朝からこれだけ暖かいということは、
おそらく今日はあまり良い天気は
期待出来そうにないね。

いつものように、食事の準備やトイレ、
水の補給等、各自行動を始める。

今日は下山するだけなんだけど、
そうゆっくりというわけにもいかない。

今ちゃんは甲府から身延線を使うけど、
電車の本数があまり多くない為、
到着時間に制約があったから。

まあ時間が足りないようなら、
お風呂をカットしようということで
出発の準備が整う。


    帰る前に記念撮影

朝からテントを片付けた人も
いる筈なので、更に昨日よりも
テントが減っているかと思ったけど、
あまり昨日と変わっていないみたい。

私達が涸沢を後にしたのは、08:40 頃。

ヒュッテと小屋の分岐点直下辺りまでは
一応葉が色付いてはいるものの、
お世辞にも良い色とは言えない。

おかげで昨年にように、後ろ髪を
引かれること無く、また撮影ばかりで
足が進まないことも無かった。

直下の開けた所に出る直前に、
おばちゃんの集団とすれ違う際に、
今年の紅葉はどうかと聞かれる。

私は三脚の脚を伸ばしカメラを
着けたまま歩いているので、
よく声を掛けられることが多い。

期待して登って来た人に良くないことを
言うのも何か悪いような気もするけど、
嘘を言ってもしょうがないし
第一すぐ目の前に出来の悪い紅葉が
広がっているのだからすぐ分かる。

だから淡々とおばちゃん達に、
今年は基本的に色付きが良くないことや
時期的に少し早かったということを
説明してあげた。

それにしても・・・
夜、テントの中でも話に出たけど、
何で私はいつもお喋りに花が咲くのが、
オバちゃんやオジちゃんばかりなんだ??

山道でも若い人と話すことは少ない。

もしかして同じ中高年の仲間だと
思われているのか? 勘弁してくれ〜

涸沢からの降りは、いつもだけど結構速い。

朝一で疲れてないこともあるだろうけど、
不思議と登って来る時との間に
随分と開きを感じてしまう。

ここでも 3 人は各自のペースに従い、
バラバラに歩くことになった。

特に写真を撮る必要もないので
スタスタと歩いていたら、
途中で先生に追い付いたので、
そこから一緒に降って行く。

本谷橋に到着すると、
休憩して今ちゃんを待つことに。

土曜日に通った時に比べると、
かなり登山者の数は少ない。

しばらく今ちゃんは来ないだろうと、
お湯を沸かしてコーヒーを飲んだり、
チョコレートを食べたりしながら、
ゆっくり休ませてもらった。

20 〜 30 分ぐらいした頃に
今ちゃんが降りて来たので
一緒に休憩するのかと思ったら、
遅いからというので先に行ってると言う。

疲れてはいないようなので構わないけど、
ちょっと申し訳ないような気もする。

本谷橋から横尾の間でもすぐに逆転し、
各自が自分のペースで歩いていた。

本谷橋より下は今の時期だとまだ緑が多く、
色付いている所はかなり少ないけど、
たま〜に紅葉している部分もあって
いつもそこでは葉を眺める。

しかし今年はまだまだ緑だし、
隣の葉は既に枯れたような感じになっていた。

例年では本谷橋付近が黄色く色付くのは、
10 月中旬ぐらいのようだけど、
今年はどうなんだろうねぇ・・・

横尾に着くと、人は多かったものの
平日のせいかそんなでもなかった。

休みながら横尾大橋越しに屏風を見上げると、
稜線付近にはグレーの雲が立ち込めている。

この辺はたまに陽も射しているけど、
上の方は天気が良くないみたいね。

横尾から先はずっと 3 人一緒に歩き、
徳沢で昼食を摂ることにする。

先生は徳沢園でカレー、
私達は芝生の上でラーメンを作って食べた。

ここの大きな銀杏の木も
秋には黄色に色付いて綺麗だけど、
今日は完全に緑で全然秋という気配が無い。

徳沢を出発し、
明神では休憩せずに上高地へ向かう。

河童橋の近くのテーブルで休んでいると、
近くにいたおじさんに涸沢のことを
尋ねられたので、今年は駄目でまだ時期的に
ちょっと早いですよと教えてあげると、
写真好きみたいで残念そうな顔をしていた。

この後涸沢に行くことを考えていた
そうだけど、まあしょうがないねぇ。

皆さん涸沢の紅葉には期待するけど、
色付きが悪いのは私のせいではないよ。

沢渡行きのバスに乗って駐車場へ
向かう頃には、すっかり良い
天気になって青空になっていた。

下界は予報通り、良い天気みたい。

中央道に入って東京方面へ向かう間も
わりと天気は良くて、八ヶ岳連峰や
南アルプス等が綺麗に見えていたし、
北岳辺りが白く雪化粧しているのも見えた。

JR 甲府駅には予定の電車の時間より
1 時間半も早く着いてしまった。

道路事情は変動するので仕方がない。

都内に入ると、
高速バスの停留所で先生を降ろして
そのまま高速道路を走って帰途に着く。

首都高速では、またしても 4 号新宿線で
渋滞が起こっていたけど、よくある話。

それにしても毎度思うけど、
箱崎の渋滞は何とかならんのか・・・

以前に一度、大きな車線変更によるクロス
事故を減らす為の改良工事をしたんだけど、
何かイマイチよねぇ。

確かに深川線に抜ける為の車線変更は
少なくなって良いとは思うけど、
6 号線本線が渋滞している限り
深川線の車線も塞がってしまうから、
渋滞解消にはあまり役立っているとは
思えんのだけど・・・

あそこを走るといつも、
どの辺で 6 号本線に
車線変更しようかと迷ってしまう。

運転者としては、どの車線を走って来ても
安心して次に行きたい方面の車線に
入れるような道路構造にして貰えると
有難いけど、なかなかそうもいかないようね。

それにしても、頭悪い造りだなぁ〜 と
いつも思わされる構造だよ、あそこは。

帰り着いた時間はわりと早かったけど、
いつもより少し疲れが出ているようだった。

出来上がった写真を見ると、
どうもパっとしない印象だけど、
レンズを換えたからだろうか?

もう少し色々写真を撮ってみたいけど、
今年はもう行けるか分からんなぁ・・・