2003／07
南アルプス
悪沢岳・赤石岳・聖岳
いよいよ夏山最盛期の季節に入り、
本格的に高い山の山行を
計画実行する時期になった。
今年の夏は幸か不幸か平日の時間が
死ぬほどタップリあるのは良いけど、
梅雨が普段通りには明けてくれず、
結構遅れるらしい。
98 年のエルニーニョの時のように、
お盆頃まで梅雨が続くのかなぁ？
折角の平日使いたい放題なんだから
何とか長期縦走をと考えていたけど、
どうやら今週末からは
厳密な梅雨明けとはいかないものの、
晴れる日が多くなるみたい。
ということで、
天気の具合と休前日を外すことで、
日〜水の日程で行くことになった。
南アルプス中部地区は椹島経由の場合、
静岡から入ることになるけど、
これがまた時間が掛かって
面倒なアプローチなんだな〜
今回はたまたま Ｉ さんが
春に焼津市へ引っ越していたので、
このきっかけを使わない手は
無いと思い、なかなか足が向かない
このエリアに出かけることにした。
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2003 - 07 - 26 （ 土 ） |
千葉 東名高速 焼津 |
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2003 - 07 - 27 （ 日 ） |
焼津 畑薙第一ダム 椹島 見晴台 千枚小屋泊 |
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2003 - 07 - 28 （ 月 ） |
千枚小屋 千枚岳 荒川三山 赤石岳 百間洞山ノ家泊 |
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2003 - 07 - 29 （ 火 ） |
百間洞山ノ家 兎岳 前聖岳 奥聖岳 聖平小屋泊 |
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2003 - 07 - 30 （ 水 ） |
聖平小屋 聖沢登山口 椹島 畑薙第一ダム 焼津 |
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2003 - 07 - 31 （ 木 ） |
焼津 東名高速 千葉 |
2003 - 07 - 26 （ 土 ） 晴れ 後ち 曇り
午前中に電話の音で起こされ、
出てみると久保田先生だ。
今日からの土日月で槍ヶ岳の北鎌尾根へ
行くつもりだったけど、右肩の脱臼の
具合がまだ良くないようなので、
今回は止めたということだった。
久保田先生は休日でも早起き
されることが多いみたいねぇ。
何故なら、休日の午前中に
久保田先生の電話で起こされると
いうのは、よくある話だから。 笑
私はグウタラ人間なので、
休日の午前中はまだ布団の中にいて、
現実の世界と睡眠の世界の間を
行ったり来たりしながら、
彷徨っていることが多い。
遭難しているわけじゃないよ。
起きてしまったものは仕方がない。
昼頃には出掛けようかと考えていたし、
登山の準備も最後のパッキングが
まだ終わってなかったので、
それらを済ませて、
出発したのは 12 時前頃。
京葉道路から首都高速へ普通に
走って行くと、都心環状線の内回り
（ 神田、飯田橋、三宅坂方面 ）が
えらく渋滞していたので、
走ったことはないけどここはひとつ
外回り（ 八重洲、新橋、目黒方面 ）
から行ってみることにした。
走ってみると、こちらはたいして
渋滞もなく距離も近かったので、
あっという間に芝浦の JCT に出た。
この先は何度か走ったことがあって
道路の勝手が分かっているから一安心。
一般の道路だと
知らない道でも全然怖くないけど、
首都高速は行き先表示板を見ながら
走るというのがなかなか難しいので、
道路の系統が頭に入ってないと
やっぱりちょっと緊張する。
芝浦 JCT の所で、
東名の用賀 IC 〜 横浜町田 IC の間で
約 15 km の渋滞表示が出ている。
R246 でも良いかなとか
金が浮くかなとか
今日は時間の制約もないし〜 等と
考えてみたものの、渋谷線の手前で
渋滞が 12 km に減っていたので、
そのまま東名を走った方が
良いかもね〜 ってことで、
結局そのまま東名を走って行った。
確かに多少渋滞はしていたけど、
あまりたいしたことはなかった。
空模様は曇りだったけど、
横浜付近は急に青空が広がり、
梅雨が明けた夏空のような空。
しかし丹沢を過ぎる辺りから
急に曇り空に変わり、足柄付近まで
ずっと雨の降る空模様が続く。
東名だから富士山が
見えるのかなと思っていたけど、
結局富士山の姿は全然見えなかった。
予定より結構早く着いて
しまいそうと Ｉ さんに電話して
そのまま静岡方面へ走って行くと、
だんだん左側に海が見えるように
なってきて、焼津 IC 付近では
すっかり港町の雰囲気になっている。
おおよその場所は事前に聞いていたので、
だいたいこの付近だけどなぁ〜という
辺りに来てから、コンビニの駐車場に車を
置いて電話したら、買い物中だというので
30 分程待っててということだった。
明日のことも考えて、
ガソリンを満タンにしておこうと思い、
スタンドを探してガソリンを入れ、
またコンビニへ戻ってから、
しばらく Ｉ さんが来るのを待つ。
外はなかなか良い調子で雨が降っている。
暇なので車の中でシートを倒して
ボーっとしていると、窓を叩く音が
したので見ると Ｉ さんだった。
しかし何故かズブ濡れ状態じゃないか。
自転車でスーパーへ行ってたら、
その間に雨になってしまったそうで、
なかなか気の毒な姿・・・
アパートはすぐ近くだから
付いて来てと言われて付いて行くと、
100 ｍ 程先のすぐそこだった。
駐車場に車を置き、
建物の入り口の方へ回ると、
なんとアパートの裏手には
広大な水田が広がっている。
ひや〜、なんという喉かな所なのぉ〜！
今頃の季節は一面の緑が見えて
とても気持ちが宜しい。
着いたのが夕方で、風呂を借りたり
飲み食いをさせて貰ったりと
色々ゆっくりさせてもらったものの、
明日の朝が早いので、この日は適当に
酒を呑むのを切り上げ、寝ることに。
冷夏のせいかもしれないけど、
窓を開けているとなかなか涼しい。
ここもうちと同じでエアコンが
無いけど、これだけ涼しければ
全然問題無く快適だ。
しかし予想通り、真っ暗になっても
ずっと眠ることは出来なかった。
（ 徹夜と同じじゃないか・・・ ）
2003 - 07 - 27 （ 日 ） 晴れ 後ち 曇り
眠れないまま起床予定の 3 時を迎える。
I さんはイビキを掻いてよく寝ていた様子。
早朝から御飯に味噌汁に野菜にと
沢山用意して貰い、もっと簡単な
もので良かったのにと思う。
不満ということではなくて、
手間が掛かって申し訳ないので。
4 時に出発するつもりだったけど、
用意が少し遅れて
スタートしたのは 4 時半近くになった。
日曜のこの時間なので、
道路はかなり空いている。
国道 1 号線は車が走ってはいるけど、
片側 2 車線の幹線道路なので流れは速い。
静岡の市街地を離れて山の方へ入ると
道は普通の片側 1 車線の道路になるけど、
走っている車が殆どいないので
これまたスイスイと流れて行く。
途中、コンビニで行動食等を買い込んで
再び走って行くと、だんだん道路も
センターラインのない状態が増えていき、
周囲の民家等の姿も疎らになっていく。
殆どどう見ても山の中という感じになると、
道路もかなり狭くなり離合できない程の
狭さになる所も出てくる。
ここは路線バスが通る道で
よく通れるなぁと思う。
また舗装だけは確実に行われている。
結構山に入ったかなと思うけど、
時間を見るとまだ半分程の
時間しか走っていない。
かなり山奥まで入っている感じの
する所でも、広々としたセンターライン
付きの立派な舗装道路が結構あって、
なんとなく贅沢という気がしなくもない。
すれ違う車の数が皆無に近かった為、
予定よりかなり早く
畑薙第一ダムの手前の駐車場に着いた。
広〜い野原が東海フォレストバスの
始発場所になっているようで、
そこから先には入れないみたいね。
ダムの所までマイカーで
入れると思ったんだけど、
週末だから規制でもしてたのかな？
いい加減な梅雨明けのせいだからか、
南アルプスだからかはよく分からんけど、
夏休みシーズンに入っているわりには
あまり車の数が多くない印象。
定刻のバスの出発は 08:10 だけど、
どんどん客がバス停の方へ行くので
I さんに聞きに行ってもらったら、
今日は臨時バスがあって、今待っている
バスは客が集まり次出発するそうだ。
急いで用意を終えてバス停へ行くと、
ギリギリ人数的に間に合わない感じ。
しかし、椹島より手前で降りる人達の
人数の都合で、運良く乗ることが出来た。
バスの中は満員なので当然荷物は
自分の膝の上・・・ う〜ん重い。
椹島まで 1 時間だしなぁ・・・ と
思っていたけど、それより驚いたのは、
路面状態に問題があるらしく
バスの揺れがなかなか凄い。
トランポリンじゃないんだからさ− って
思うぐらい、凄い縦揺れも結構あった。
人によっては、酔ってしまう
人もいるんじゃないかと思う。
隣の席のおばちゃんと少し話をすると、
その人は福島からグループで来て
今回この辺は 2 回目という話。
コースを聞くと、赤石岳へ登って
それから荒川三山を回るんだそうだ。
じゃあ途中で会いますね〜 と
平和的な話をしていたけど、一緒だという
オヤジ連中が後ろの席で、やたらと
でかい声で喋っていて喧しかった。
途中、聖岳登山口で降りる人の為に
一度だけバスが停まり、
その後しばらくしてようやく椹島に到着。
外に出ると、周囲にはいろんな
宿泊施設らしき建物が沢山建っている。
上空は雲が多いものの、多少は青空も
顔を見せていて、間からは陽射しも
あってまあまあのお天気という感じ。
ゆっくり支度をして 09:20 頃いよいよ
私達は 4 日間の山旅へ足を踏み入れた。
この時点では、今後の 4 日間が
とんでもなく、きつい山旅になるとは
知る由もなかったけど・・・
出発してちょっと行くと林道に出て、
しばらく歩くと橋の手前から
山道に入ることになる。
滝の所を通ったり少し降ったりしながら
穏やかな歩きが続いたあと、
次第に普通の登り坂になっていく。
バスの到着時間が詰まっているわりには
前後に人の姿が殆ど無い。
私達の出発がちょっと遅かった
のもあるし、半分程はきっと
赤石岳方面に行ったのだろう。
そのうち送電線鉄塔が建っている所で
休憩をしていると、後から登山者が
やって来て休む人が増えた。
先に休んでいた兄さんが地図を見せてと
いうので貸したけど、地図をどっかに
忘れて来てしまったそうだ。
後から来たおじさんは 08:40 頃の
バスに乗って来たそうだった。 えっ？
ってことは、私達より 1 時間も
後のバスに乗って来たのに、
もう一緒になってしまったのかぁ〜
やはり私達は遅いみたいね。(^_^;)
だって歩き始めてまだ 1 時間ちょっと
ぐらいしか経ってないから。
しばらくして林道に出て、再び山道に戻る。
ちょっとゴロゴロした感じの降りでは、
I さんはちょっと時間が掛かる。
やはり降りの苦手さは健全のようだ。
私も降りは遅くなるので
別に待ってて苛立つことは無いけど、
後から来る年配の夫婦等にも
どんどん追い越されて行くので、
タイム通りに着くかどうかが、
ちょっと心配になったりする。
緩めの登山道を進んで行くと
再び林道に出て、上空は青空が消えて
真っ白な空に変わっている。
小腹が空いていたのでここで軽く
おにぎりを食べることにしたけど、
I さんはまだ必要無いらしい。
この後だんだん山道の傾斜も登りが本格化
してきて、歩くペースが遅めになっていく。
地図のタイムでは、3 時間半で
見晴台へ着くことになっているけど、
4 時間近く経っているにも拘らず、
見晴台らしき場所が現れる気配がない。
元々、昭文社の荒川三山を収録している
この地図は、いつもの北アルプス等の
地図に比べて実際のタイムよりも
長めに書かれていると思っていた。
何故なら最初にこの地図を買った時に、
同じ縮尺なのに他の北アルプス等の
地図と比べて随分と時間が長いなぁと
いう印象があり、おかしいなと思いつつ
添付の冊子を読むと、最後の後書きに
この地図は初心者を対象にして
コースタイムを長めに作成した、と
書いてあったから。
だから自分では、今回の山行は地図の
タイムを 75 〜 80 ％ 程度に換算して、
実際の時間になる感じだと思っていた。
つまり地図の時間より早く着いて
当たり前と思っているのに、
全然着かないので変だなぁという話。
時間はどんどん過ぎて、
遂に 4 時間を超えてしまっている。
あまりにも地図のタイムと合わないので、
そのうち私達はいつの間にか
見晴台を通過してしまったのでは？ と
半分思うようになりかけていた。
そうじゃないと、
地図時間で 3 時間半のところを
4 時間半も掛かっていたらまずいでしょ、
いくら遅いとはいえ・・・
しかしその後すぐに、
その不安は的中してしまう。
目の前に少し樹林が途切れて開けた
場所があり、朽ちかけた木に
消えかかって字で何か書いてある。
よく見てみると、何と蕨段・・・
げげげっ！！ 見晴台よりも
まだ手前じゃないかぁぁぁ〜！！
なかなかのショック療法。
このままだと小屋の到着は
一体何時になるんだぁ〜〜！
悩んでも仕方がないので、
さっさと先を急いで歩き出す。
しばらくすると、左手側に
向かい側の山脈が見える場所へ出た。
見晴台というので、展望台のような
開けた場所かと思っていたら、
ただの登山道の途中じゃないか〜
そこで二人の登山者が先に休んでいたので、
一緒に話をしたら、やはりここまでの
3 時間半という地図のタイムは絶対
おかしいということで意見が一致。
絶対これは 4 時間半の間違いだ−ってねぇ。
既にこの見晴台に着いた時点で 14 時だよ。
地図時間ではこの先の千枚小屋まで
3 時間となっているので、
このままのペースで行っても 17 時。
まして今のように地図時間より
実際は長く掛かるとなると、
一体着くのは何時になるんだ・・・
騙されたという気分と着く時間が
何時になるのだろうという
不安が入り混じりながら、
先駆者の一人の若い人と一緒に出発。
その人は私達より歩行が速そうなので、
しばらく行って離れそうになった時に、
小屋に着いたらまだ遅いのが二人
来ると伝えて貰うよう頼んでおいた。
遅くなった為に
夕食無しにされると困るから。
今回はテント泊じゃないんだから。
ここからの登りは先程までに比べると
少しは緩い感じだけど、
なんせ疲れているのできつく感じる。
精神的にも圧迫感を感じているしね。
1 時間〜 1 時間半ぐらいした頃、
向こう側の斜面にやっと小屋が見えた。
しかしかなり疲れているのか、
なかなか小屋は近付いて来ないし
元気も出ない。
そのうち、小屋のエンジンらしき音が
聞こえるようになってきたけど、
やはりなかなか着かない。
結構バテたようで、立ち止まる回数が
増えてきた頃、ようやく近い所に
小屋の姿が見えるようになった。
千枚小屋本館
ようやく小屋に着くと、
外のテーブルで寛ぐ客の姿が結構あった。
当然だよね〜、なんせもう
16 時半だったのだから。
苦しくて疲れたぁ〜 って顔していると、
小屋のおっちゃんらしき人が、
受け付けは落ち着いてからで良いよと
なんとも易しいお言葉・・・
とりあえずテーブルについて、
I さんとビールにありつく。
もう歩けん状態だ〜〜
受け付けをすると、私達は別館だ。
入るといきなり 1 階では何やら
団体の講習会のような話が行われている。
私達の割り当ては 2 階だったので
上へ上がると、殆ど客はいない。
もうこの時間だし、これ以上客が増える
ことも無いだろうと喜んでしまった。
だってスペースがかなり空いてたし、
これなら広〜く使えるから。
山小屋において、自分の割り当ての
スペースが一人分なのと二人分なのでは、
快適さに雲泥の差が生ずる。
食事の時に同じテーブルだった人と
話したら、やはり同じパターンで
コースを歩く人が多いみたい。
やっぱり明日は長丁場だから
10 〜 11 時間程ですかね〜 という話。
（ 私達はもっと掛かるよ・・・ ）
食事を終えて別館に戻ると
少し客が増えていたけど、
たいした数じゃなかった。
しかし、しばらくしてから
ちょっと煩い集団が入って来た。
結局 2 階のスペースもわりと綺麗に
埋まったような感じに近かったけど、
二人分のスペース程度はあったのが幸い。
ここは布団ではなくシュラフに
毛布が１枚という寝具だったけど、
シュラフだけで十分だったので
毛布は折りたたんだまま枕にして、
板張りの硬い状態で寝ることに。
まだ寝るつもりはなかったけど
酒を呑む感じでもなかったので、
19 時過ぎ頃からシュラフに潜っていたら、
そのうち寝てしまったようで、
気が付くと 23 時台だった。
私は一番端の窓側で寝ていたので、
ちょっと暑かったこともあり、
窓を開けて外を見てみた。
眼鏡無しでも星が輝いているのが分かる。
明日の天気は良いのかなぁとか
考えながらまたシュラフに潜ったけど、
いつものようにあまり眠れなかった。
2003 - 07 - 28 （ 月 ） 曇り 時々 晴れ
ちょっと煩い集団連中が
何やらガサゴソと始めているけど
もうそんな時間？？？
時計を見ると、まだ 2 時前じゃないか〜
本当に煩い集団だ。
ちょっと暑かったので窓を開けて空を
眺めると、星は殆ど見えなくなっている。
あれ〜 明日は天気が怪しいのか・・・
よれよりそこの集団、静かにしろ！！
しばらく眠れずに時間を過ごし、
再び集団がザワザワし始める。
しかし今度は本格的に起きて
用意を始めているようで、時間は３時。
隣の I さんも起きているみたい。
3 時台後半には出発するつもりだった為、
私達も起きることにした。
（ というか起こされた・・・ ）
用意を終えて 1 階に降りる時に
近くで起きていたオヤジに挨拶をしたら、
このオヤジの声がまたでかい！
最近本当に周囲に対する配慮という
精神を忘れている奴が多いと思う。
今時の若者に限った話ではない。
外に出るとまだ真っ暗で、
たまに星が少し光っている。
用意が済んで歩き出したのは 03:47 で、
両側を草木に覆われた細めの道を登って行く。
遠方は薄明るくなりかけては
いるけど、まだランプは必要。
二軒小屋への分岐を通過する頃には、
ランプはなくても見える程度の
明るさになっていた。
千枚岳 山頂 2880 ｍ
千枚岳まで 300 m のわりには
なかなか着かんな〜 と思いながら
歩いていると、やっと千枚岳に到着。
西側は荒川三山から赤石岳に
かけての稜線が見えているけど、
ガスが掛かったり消えたりを
繰り返している。
また少し下がった所には
荒川小屋らしき光も見えていて、
もしかしたら今日は
あそこ泊まりかも・・・ とか
既に超弱気な精神が見え隠れする。
東側も上空は明るくなっているけど、
低い部分は雲に覆われていた。
千枚岳を出ると
狭いヤセ尾根のアップダウンがあり、
しばらくすると普通の登り坂に変わる。
登りの途中で後ろを振り返ると、
雲の上端がオレンジ色に滲み始めていて
どうやら日の出らしい。
日の出を見ることは出来たけど、
あまり綺麗なものではなかった。
上空に雲も広がっていたしね。
しばらくして太陽がまた薄いガスの中に
消えると、これから先の稜線の方も
ガスに包まれ始め、視界が無くなる。
やや緩めの登り坂を登っていると、
向こうの岩の上に
雷鳥が止まっているのが見えた。
雷鳥は天気が良くない日に姿を現す
ことが多いと聞いたことがあるけど、
今日もその通り。
とりあえず写真に収めようと
シャッターを切るけど、
85 ｍｍ ではやはり少し足りない。
太った雷鳥
少し近付いてまた撮り、また近付く。
幸い雷鳥が止まっている岩は
登山道のすぐ横にあるので
出来るだけ近付いて行ったけど、
3 枚撮ると飛んで行ってしまった。
後で写真を見て改めて思うけど、
今まで見た雷鳥の中で一番のデブ。 笑
そうこうしているうちにやっと丸山に到着。
気分的には、ここ悪沢岳じゃないのか？
って感じだけど、世の中そんなに甘くない。
ザックを降ろして、しばらく休憩。
じっとしていると結構寒いぐらいに
風が強くなっていて霧雨も交じり、
眼鏡が濡れて曇り易くなってしまう。
この辺りから先は登山道が
だんだんガレ場に変わっていく。
地図時間では、予定通りに進むと
今日の行程は 11 時間程になってしまう。
まだ朝の 5 時 6 時の
時間なのにもう疲れている。
本当に行けるのか何だか怪しい。
悪沢岳 山頂 3141 ｍ
ようやく悪沢岳の山頂に着くと、
全く何も見えない状態。
とりあえず千枚小屋で貰った
弁当を少し食べたものの、
寒いしあまり食欲も無かった。
山頂で一緒になったおっちゃんが、
記念写真を撮ろうとしているけど、
ディジカメが寒さに負けているようで、
駄目だ〜 と言いながらカメラを温めている。
ディジカメは低温に弱いしね〜 ご愁傷様。
悪沢岳を過ぎるとしばらくの間、
そこまで降らんでも良いのにねって
程の急な降りが続く。
何も見えない中をひたすら歩いて行くと、
多少ガレ場が穏やかな道に変わる。
黙々と歩いていると正面に何やら、
槍ヶ岳のような尖った山が見えてきた。
二人して、随分綺麗な形をした
尖った山だね〜という話をしていると、
なんと中岳非難小屋だった。 笑
ガスで影しか見えなかったのさ〜
そりゃ〜 小屋の屋根なら尖っているわな。
ここは非難小屋なんだけど
管理人が入っているようで、
非難小屋にしては立派な建物だね〜
非難小屋を過ぎるとすぐ荒川中岳の山頂で、
しばらく降ると荒川前岳への分岐。
荷物を置いて前岳へ行ってみると、
すぐかと思っていたら少し距離があった。
分岐に戻って本来のコースを降り始める。
ふと空を見上げると
結構明るい感じがするじゃないか〜
たま〜に太陽の輪郭が
薄っすらと見えたりするし
やはり悪天をもたらす雲ではなく、
単に山に掛かっているガスみたい。
更に降っていると、
お花畑の手前で急にガスが取れ始め、
前岳の稜線上付近だけではいえ
青空が見え始めた。
ちょっと期待してしまうけど、
しばらくするとまたガスに埋もれてしまう。
それでもお花畑コースを通過する間は
陽射しを受けることが出来たりして、
ちょっとだけ夏山の雰囲気だった。
荒川前岳下部のお花畑
ここのお花畑はなかなか広いし、
花がたくさん咲いていて良い感じ。
コースもお花畑の中を横切って通るし、
ここで背景に青空と遠くの山並みが
あったら、なかなかの光景だ。
が、今日はガスの中・・・
再びガスの中を降っていると、
そのうちエンジンらしき音が聞こえる
ようになり、荒川小屋の姿が見えてきた。
ここでは少し長めに休憩することにして
お湯を沸かしてカップラーメンを作る。
ちょこちょこ一緒になるお兄さんと同じ
テーブルだったので、山の話に花が咲く。
山歩きはまだ 2 年目らしいけど、
そのわりにはこんなコースを歩いているし、
1 年目で槍穂高を縦走したそうだ。
スゲー！ 記憶違いならすみませぬ。
風の噂だと、どうやら今日はここの
小屋に沢山登山者が宿泊するらしい。
時間はまだ 10 時半頃だし、
やはり百間洞まで行けってことのようね〜
でも既に今日は 7 時間近く行動してるけど・・・
まあ最悪は赤石非難小屋でも良いし、
とりあえず行くだけ
行ってみようということで、いざ出発。
しばらく歩くと、緩斜面で見通しの
良いやや広めのエリアに出る。
どうやら大聖寺平のようだ。
分岐を過ぎてしばらく進むと、
向こうのガスの方に
急な斜面の山が迫っている。
ちょっと休んでから
いよいよ赤石岳に向かって歩き出す。
今日の行程最後の面倒な登りの部分だ。
標高差は 200 ｍ 程度だけど、
ザレ場のような道で勾配が結構
キツイので、かなり疲れてしまう。
しかも途中で
小雨がバラバラと降ってくるし・・・
しばらく無視していたけど、
小雨が続くので私達はレインスーツを着る。
それにしてもこの登りはなかなか大変だ。
ザレ道の急勾配はかなり疲れるね〜
ようやく急勾配の登りが終わって
少し緩やかな歩きに変わるけど、
小赤石岳はまだ少し先。
小雨は軽めなのでレインスーツ無しでも
大丈夫そうだけど、また降って着るのも
面倒なので、そのままの姿で進む。
小赤石岳の山頂に来ると、先にいた集団に
写真を頼まれたので撮ってあげた。
渡されたのは、レンズ付きフィルム。
（ 写るんですとか、ああいうやつ ）
向こうは 5 人程いるので、一番後ろまで
下がっても、結構画角一杯だ。
じゃ〜私達もと思って頼んだんだけど、
これがまたマズイ相手だったねぇ−
二人して並んでいるのにこのオヤジ、
なかなかシャッターを切らない。
オ−イ、早くしろよ！！
頭の中でこだまする・・・
フォローなのか一緒だった人が、
この人は一番写真が上手いからと
言っていた。 本当か？？
自分が普段写真撮影をしていると、
こういう時にストレスが溜まる。
私のレンズは 24 〜 85 mm で、
普段人に撮ってもらう時には
一番広角側の 24 mm の状態で渡す。
写真やっている人なら分かるけど、
24 mm という焦点距離は
画角が 84 度もあるのでかなり広い。
写真に馴染みがない人には
よう分からん話で済まんけど、
つまり近くから撮っても
かなり広い範囲が写ってしまう。
オヤジなりには気を使ったようで、
どうも周りにいる人を省いて
私達だけを撮りたかったらしい。
その気持ちは有りがたいと思うけど、
ならば素直に縦にしたら？
胸ぐらいまでの山頂標識を真ん中にして
その両サイドに二人立っているんだから、
周囲の邪魔者を消すなら普通は縦の
構図にすれば済むと思うんだけど、
このオヤジは長らく待たせた挙句に
無理やり横位置で撮りやがった。
結果・・・ 写真を見たら
I さんの頭が切れていた。
どこが上手いんだよ、この下手糞！
［ 追記 ］
この頃はまだフィルムカメラなので
今時のデジカメのように
その場で写真の出来具合を確認する
ことは出来なかったんだよねぇ。
そのまましばらく休んでいると、
再び小雨の勢いが増してくる。
カッパ脱がなくて正解みたい。
その後反対側からやって来た集団に
声を掛けられると、初日にバスで
一緒だったおばちゃんの御一行だった。
今日は荒川小屋までだというので、
今日は混んでるらしいことを伝えたけど、
良い話でもないし、こういう場合は
言わない方が良いのかな・・・
小赤石岳を後にして、しばらく降って
進んで行くと、東尾根の分岐に出る。
するとザックだけが沢山置いてある。
赤石小屋へ降る人が空身で
赤石岳を往復しているのだろう。
最後の赤石岳への登りを登っていると、
お−ここまで来たね〜 と声を掛けられる。
たぶん今までに、本当に私達が今日
百間洞まで行けるか怪しいという
話をした人の中のどなたかだろう。
もうあそこの上だからと励まして貰えると、
なかなか嬉しいものがあるね〜
そうこうしながら、
ようやく赤石岳の山頂に到着する。
いや〜 良かった良かった！
赤石岳 山頂 3120 ｍ
山頂に着いた時はまだちょっと
ガスに巻かれている感じだったけど、
だんだんガスが薄くなっていく感じ。
山頂の標識の隣に
平坦で少し広くなっている所があり、
思わず仰向けにひっくり返ってしまう。
しばらく休んで写真を撮ったりしていると、
そのうち上空のガスが取れて晴れてきた。
周囲のモクモクとした雲は取れないけど、
上空だけでも青空が覗くと良い感じね〜
山頂も結構登山客で賑わっていたけど
そのうち皆出発してしまい、
いつの間にか私達だけになっている。
近くに見えている赤石非難小屋の
管理人のあんちゃんがやって来たので
しばらく話をすると、
明日も今日と同じような天気で
明後日は雨の予報なんだそうだ。
どうやら梅雨明けしたとは言っても、
やっぱり南に梅雨前線が残っている
せいで駄目らしい・・・ やっぱりねぇ。
早く真面目に梅雨が明けてくれないと
商売に影響するぅ〜 と嘆いておられた。
私とて晴れて欲しい・・・
ここから今日泊まる百間洞山ノ家まで
私達の地図では 02:35 になっているけど、
先に行かれたおっちゃんの地図だと
2 時間という話なので、地図によって
バラバラでその間ぐらいなのかな？
まあでもここまで来たのだから、
今日のピークは過ぎているわけだし、
後もう少し頑張るしかない。
赤石岳を後にする頃には、すっかり
いつものガスまみれの景色に戻っていた。
少し行った辺りから急勾配の降りが始まり、
ザレた感じなので突っ張る足が結構辛い。
急な勾配が終わったかと思うと、
今度は傾斜は緩いけどガレ場が始まる。
全くねぇ・・・
ずっと先の方に少し平っぽいエリアが
見えていて、たぶんあれが百間平だろう。
馬の背を過ぎて穏やかな百間平に入ると
平坦な部分が多くなり少し楽になる。
進んで行く途中に道標が立っていて、
目的地まで 40 分と書いてあった。
しかしこの 40 分は、私達には大嘘だった。
とんでもない！！
大沢岳、中盛丸岳の稜線が
見える辺りまで来ると、
遂に下の方にテントが見えた。
ようやく宿泊地が近付いたけど、
ここからの降りがかなりの急勾配で結構辛い。
苦しいを通り越えて足が痛くなっているし、
下に見えているテントが全然近付いて来ない。
降りの苦手な I さんとの距離が開いていき、
私もかなり普通の人よりノロいスピード。
いい加減にせぃ〜 っと文句タラタラで
降りて行き、随分時間をオーバーした頃、
やっとテント場に着く。
緑に囲まれた百間洞山ノ家
期待して先を見ると、
赤い屋根の小屋はまだちょっと先で、
あと 5 分と書いてあった・・・
ここから沢に沿って歩いて行く。
確かに小屋の目の前を沢が流れる
良いロケーションだねぇ〜
ようやく今日の全ての行程が終わり、
私が小屋の前に着いたのは 16:52 。
実に本日の行動時間 13:05・・・
なげえええ−−−！！！
あ−死にそう！！ 足が痛〜い！！
I さんの姿は全然見えないけど、
時間が時間なのでとりあえず
急いで受け付けをする。
案の定、もっと早く
来てくださいと言われてしまった。
これ以上は早く歩けんだったのよ〜
しばらく小屋の前で待ったけど、
I さんの来る気配が全然無いので、
私だけ先に荷物を置きに部屋へ向かう。
宿泊者のエリアは 6 人ずつ程の
空間がいくつかに分割されて
いる感じの造りになっていて、
今日は結構一杯みたいだ。
割り当ての空間に上がっていくと
既に先客が皆さんいらして（ 当然だ ）
右側のエリアでは宴会が始まっていた。
（ 私達は左側の空間 ）
しかしここの左右の空間のエリアの客は、
道中抜きつ抜かれつで・・・ じゃなく、
抜かれつ抜かれつで顔見知りだったから、
溶け込みは早かった。 笑
隣の宴会チームのおっちゃんからは
やっと来たねえ− もうワイン
残ってないよ−、と笑われるし、
あまりにも遅かったので
ちょっとスターになってしまっていた。
先客は左右両方共に千枚小屋で
朝食を食べてから出てきたようで、
スタートは 5 時半や 6 時と
いう時間だったようだ。
それでも 15 時半とか 16 時とかには
ここに着いているわけだから、
私達の出発が 3 時台の暗いうちだったと
言ったら、仰天されてしまった。
なんでそんなに掛かったの？？？
どっかで道を間違えたの？？？
一体どうしたのよ？？？
しか〜し、困ったことに
素直に歩いてこの時間なのよぉ・・・
まあしょうがないね− ( ^_^; )
一息してから I さんは来たかなぁと
外に出てみたけど、まだ姿はなかった。
時間は 17 時を少し過ぎた頃で、
食事は 18 時だったけど
いくら何でもそれまでには来るだろう。
しばらく待っていると、
ようやく沢の向こうの方に
I さんの姿が見えてちょっと安心。
一息した後、 I さんも部屋へ
入って荷物整理が始まった。
結局食事の時間が近くなってきたので、
酒は飲まずにそのまま食事の時間に。
ここの食事は結構良い感じなのに、
全部食べ切れずに
カツを一切れ残してしまう。
I さんは相変わらず
ガンガンお代わりをしている。
やはり元気だなぁ〜〜
足は痛めているようだけど。
食事時に偶然隣に座ったおっちゃんが
この辺のエリアにはよく来るらしく、
光岳等の静岡県側の小屋の話になった。
光小屋は 50 代未満は
飯が出ないとか 3 人以上は泊めないとか、
そういう制約があるらしい。
そんな話は聞いたことがなかったので
知らずに行ってたら大変なことになるけど、
どうやら翌日向かう聖平小屋も
15 時半までに着かないと
飯が出ないらしい・・・
なにぃ〜！ そんな話は知らんぞ−！
それを聞いてからは、
結構精神的に不安が増大してしまい、
しばらく楽しくなくなってしまう。
今日のような自分達のペースを考えると、
かなりタイムオーバーしそうねぇ。
明日の地図時間は 8 時間程なので、
朝食を食べてから出発すると
あまり超過時間に余裕が無い。
部屋に戻って周囲の人にその話をすると、
皆さん少しびっくりした様子。
光小屋がそうなのは御存知らしいけど、
聖平小屋もそうなのは知らないみたい。
しかし時間までに着かなくても
ちゃんとした飯が出ないだけで、
食料や自炊道具は与えてくれるらしく
最悪はそれでも良いかということで、
その日は落ち着いた。
無理せず行こうということで・・・
今日は到着時間が遅かったせいで、
小屋に着いてからも余裕の無い生活。
食事時間が遅かったので、
その後は周囲がもう寝始めるし、
とても酒を飲もうかという雰囲気でもない。
第一それ以前に自分達が疲れ果てて、
とてもそれどころじゃないと
いうのが正解かもしれない。
とりあえず明日は 4 時半の朝食を
一回目の順番で食べようということにし、
今日はお休みすることに。
今日は昨日と違って
結構寝るスペースは詰まっているけど、
まあそんなにキチキチでもない。
13 時間の行動はかなり疲れたようで、
しばらくすると眠りについたようだった。
23 時台に一度目が覚めると、
満員のわりにはとても静かという印象。
普通はこれだけ人が詰まっていると、
必ずイビキ等で他人の睡眠の邪魔を
する奴がいるんだけど、今夜は何故か
異様に静まり返ってシーンとしている。
煩いと眠れない私には良いことだけど、
何だかとても不思議な夜だった。
その後、再び目を覚ました時も
やはり静かな夜だった。
運の良い時は良いものだなと思う。
2003 - 07 - 29 （ 火 ） 小雨 後ち 曇り
3 回目ぐらいの目覚めの頃かに、
時間を見たら 4 時前頃。
窓から見える外の感じは何となく
薄明るくなってきてはいるけど、
それは良い天気の明るさではなくて、
単に朝を迎えたという意味のもので
雲っているみたい。
朝食は 4 時半からなので、
早めに下に降りて並ぶことに。
15 分程して朝食が始まる。
同じテーブルに座った
隣の人達も私達と同じく、
今日は聖平小屋までだそうだ。
ここの小屋に泊まった人は、だいたい
聖平小屋か荒川小屋が多いらしい。
食事の後に外に出てみると曇り。
しかし、しばらくしてから再び
外へ出てみると霧雨になっていた。
今日は駄目そうだなと諦めて、
レインスーツを着て出発の用意をし、
05:20 頃小屋を後にする。
ここから聖岳方面へは、小屋の前から
直接南側へ道が延びているけど、
このりんけん新道は最近出来たもので、
本来はテント場まで戻って
そこから稜線へ登って大沢岳を通り、
聖岳方面へ向かうようだった。
最近出来たこの近道のおかげで、
時間が 1 時間程短くなって
喜ばれているらしい。
小雨に濡れる緑は
瑞々しくて良い感じだけど、
やはり雨の中の歩きはやや疲れる。
標高差にしてだいたい 300 ｍ 程だけど
斜めに切りながらとはいえ、
それなりの勾配を登るので疲れる。
また食事の後、間もなくということもあり、
早く稜線に出ないかなぁ〜 という
思いが頭の中で繰り返される。
この付近の樹木は真っ直ぐ上に向いて
伸びておらず、水平方向へ向かって
伸びているのは何でだろう？？
下には T シャツしか着てないとはいえ、
レインスーツは風を通さないので暑い！
途中で稜線っぽい感じの所に出た時は、
強い風が寒い程でとても気持ち良かった。
再び樹林の中を進んだ後、
しばらくしてやっとメインの稜線上に
出たので、少しの間座って休む。
長野県側の遠方の山々は、少し明るい
感じもあって普通の曇りみたい。
自分達がいる赤石〜聖付近の山々は、
ガスが強風に流されて
山の姿を見せたり隠したりしている。
目の前には中盛丸山が
見えたり隠れたりしていて、
名前の通り真ん丸い形をした山。
山頂は特に広くもなくて
何があるという訳でもないけど、
たぶん晴れていれば景色は良いんだろう。
ここからの降りは、結構ガレ場や岩場が多く、
また雨のせいで滑り易くてなかなか疲れた。
しばらく登っていくと緩やかな道に変わり、
向こうに何か建っているのが見える。
どこかのポイントかなとも思ったけど、
行ってみると特に何も書いてない。
休みながら地図を開いて見ると、
どうやら小兎岳みたいだ。
周囲はガスで何も見えず、人の姿も殆ど
見えないのでちょっと寂しい感じがする。
相変わらず草木に囲まれた道や
ガレ場っぽい道を進み、
急勾配のきつい登りを息を切らせて登ると、
やっとのことで兎岳に到着した。
それにしても視界が無いね・・・
15 〜 20 ｍ ぐらいって感じかな。
ここでは少し長めに休憩することにして
ウイダーインゼリーを食べたり、
ペットボトルの水にポカリの粉を混ぜて
ポカリスウェットを作ったりした。
しかし既製品と違って粉を混ぜて作ると
美味くないねえ−！ 何で？？
今日は朝から雨模様だったので
一眼レフはザックの中に入れっ放しにして、
ウエストポーチに＜写るんです＞を
入れていたのが、結構役立っている。
流石に雨の中で
一眼レフは使いたくないし・・・
ここでも ＜ 写るんです ＞ で
人に撮って貰い、雨が上がっていたので
I さんに一眼レフでも撮って貰った。
そしていよいよ
今日の本命の聖岳へ向かって出発〜
しばらく降って行くと非難小屋との
分岐点があったけど、道標が分かり
難くてしばらく迷ってしまう。
それにしても木の枝や草等が
覆い茂っているコースだなぁと・・・
結構掻き分けて進む所も多い。
途中ちょっとしたコルの部分で
座り易い石があったので休んでいたら、
後方を歩いていたおじさんが
追い越して先へ進んで行った。
その後おじさんの後を追うようにして
岩場の登りを登っていると、
どうやらおじさんが道を見失ったらしい。
道が無い無いと言っているので私達も
一緒に道を探すと、本道は岩場を登らずに
左の方へトラバースして延びていた。
たぶん私達も同じことに
なったかもしれないなぁと思う。
晴天時なら良いけど、雨の時はあまり
先の方まで見ないし、目の前に岩場が
続いていればつい登ってしまいそうだ。
トラバースの後も、結構な急勾配が続く。
ラジオラリヤ岩盤露出地の所まで来ると、
一人のおじさんが休憩していたので、
私達も一緒に休んだ。
おじさんは風邪で調子が良くないそうだ。
本来かなり健脚らしいけど風邪が辛いらしい。
確かに辛い状態でも私達と同じか
ちょっと速いぐらいだから、
いつもなら結構速いのだろうね〜
そのうち、百間洞山ノ家で一緒だった
おじさん達が、追いついて来て一緒になった。
昨日の夕方、既に宴会を始めていた
あの陽気なおじさん連中だ。
ここまで私達に追い着かなかったので
おじさんに、今日は速いね〜 と
言われてしまった。笑
そうだろうねぇ〜、
私達はかなり遅いというイメージ
だったからね、昨日の話では。
そのうち聖岳の方から人が降りて来たので
時間を聞くと、降りで 35 分掛かったという。
ということは登りだと、1 時間ぐらいかなぁ。
まあ地図の時間ともだいたい合うね。
さてさて最後の登りじゃぁぁぁ−と
いうことで出発することにした。
ガスで周囲が見えないせいで、
どの辺が聖岳なのかが全然分からない。
歩いていると時折り、空が薄っすらと
明るい感じになることがあるけど、
白いことには変わりがない。
それでも極たま〜にだけど、
太陽の輪郭が薄っすらと見える
こともあり、ちょっと落ち着く。
まだ聖岳ではないけど、
途中で小腹が減ってしまったので、
少し登り詰めた感じの所で
休むことにして休憩。
何組かの登山者が追い越して行く。
そのうちパンを食べていたら下から
山頂ですかぁ〜？ と声がするので
申し訳ないけど、違いま〜す、と
真実を突き付けてあげる・・・
いや、教えてあげる。
決して鬼ではない。
嘘ついて喜ばせても仕方がない。
第一嘘つきと思われてしまうじゃないか。
休憩を終えて歩き出すと、何とすぐ先に
広い休憩場所のような所があった。
テーブルやベンチがあるという程
キチンとした場所でもないけど、
さっきガスに巻かれていた時は
全然分からなかった。
冬山等のホワイトアウト時に、
小屋の目の前で遭難してしまうのは、
こういうことなのかなと思う。
休憩していた時にちょっとガスが取れて、
聖岳方面が薄っすらと見えたけど、
その感じだと、広場の先のこんもりした
山の一つ後ろにもうちょっと大きな山が
あったので、おそらくそれが聖岳だろう。
地図時間や歩行時間から考えても、
だいたい一致するようだね〜
よしよし、もうちょっとだぞぉ−
ガスの中、最後の登りを登ると、
ようやく念願の前聖岳山頂に到着。
その後、遂に少し横の方にある
聖岳に登頂〜〜♪ ＼(^o^)／
聖岳 山頂 3013 ｍ
時間は 11 時半ちょうど。
悪天候を除けばちょっと嬉しい気分〜♪
休憩時間を考慮すると
地図時間通りに来たから。
何と言っても 15 時半までに聖平小屋に
着かなくてはという意識があったので、
ここでこの時間なら ○ だ。
しばらくは登頂写真を撮ったり
マッタリしたりする。
そのうちガスが少し取れて
青空が少しだけ顔を出した。
東側ではなんと予想外に
富士山の姿が見えるようになった。
見えたり見えなかったりしているけど。
今日はガスで見えないから
奥聖岳は良いやと思っていたけど、
先程のおじさんに唆されて行ってしまった。
たいした距離じゃないけど、
思っていたより少し距離があったかな。
ガスが多くそんなに良い景色ではないけど、
来た時よりは雲が少なくなっていて、
赤石岳も少しは見えるぐらいになっている。
富士山
富士山には笠雲が掛かっていたけど、
前聖岳に戻った頃には取れていて、
その手前には笊ヶ岳もよく見えていた。
13 時を過ぎたので
そろそろ小屋へ向かって出発する。
いきなり急勾配の凄い降りが始まり、
滑らないように突っ張る足が結構痛い。
この辺りから左足がだんだん辛いと
感じるようになってくる。
ようやく地図時間通りに
この降りを降り切ると、しばらく休憩。
振り返って聖岳の方を眺めると、
改めて素晴らしい急勾配だな〜 と思う。
とんでもないよ、全く−！！
ヤセ尾根を歩いていると、
向こうから何組か登山者がやって来る。
まさかこの時間に縦走中ではないだろうと
思いながら見ると、随分と空身なので
おそらく聖平小屋からの往復なのだろう。
しかし空身とはいえ、
聖平小屋と聖岳の往復は結構
ボリュームがあると思うんだけど・・・
おばちゃんと娘さんの二人連れは
ちゃんと登頂して戻って来れたのかな？
しばらく穏やかな道を
進んで行くと小聖岳に出る。
小聖岳とはいっても前聖岳から
350 ｍ ぐらい標高を下げているので、
ちょっとした前聖岳の展望台って感じかな。
ここを過ぎてからは、
だんだん樹林帯の中へ登山道は入って行く。
たま〜に薄っすらと陽射しが出ることも
あるけど、やはり空は白ベースだ。
しかし降って行く山の麓の方は
わりとガスが取れていて、
山の様子が見える部分が多かった。
降りの途中で
今日の宿泊地の聖平小屋が見えると、
いや〜 やっとここまで来た〜 って感じ！
その近くには何やらくっきりとした
道が綺麗に見えていて、何となく
尾瀬のような感じにも少し見えるけど、
小屋の近所は木道でも
整備されているのだろうか？？？
I さんと、あと ○ 分ぐらい
なんですけどねぇ〜 等と話をすると、
そんなこと言ってまた昨日みたいに
1.5 倍ぐらい掛かるんじゃないの？
という話に変わってしまう。 苦笑
西沢渡との分岐点がなかなか近づいて来ず、
いい加減足が痛くて仕方がなくなってきた。
前を一人おっちゃんが歩いていたけど、
途中で足の爪が割れて思うように
歩けないそうだ・・・ 随分痛そうな話。
それでも私達と同じ行程で、この時間に
ここなんだから速かったんだろうねぇ。
そのうち西沢渡との分岐点に出ると、
道標の写真だけ撮って少しだけ休憩。
さてあと 25 分だ−
たぶん傾斜もこれからは緩いだろう・・・
ということで
今日最後の区間の歩きとなる。
傾斜は確かにかなり緩〜くなった。
途中には金網のフェンスで囲ってある
部分があり、何だろうと思って見ると、
植物を保護しているエリアみたいだ。
分岐からはおっちゃんも一緒で、
30 cm ぐらいのでかい蛭を見たという。
そういえば聖岳のエリアは蛭が出るから
走って駆け抜けないといけない所が
あるんですよね〜 という話をすると、
確かにそういう区間があるらしい。
・・・ちょっと忘れていた。
区間は兎岳の周辺辺りらしいけど、
確かに上から蛭が落ちてきても
おかしくなさそうな感じだったよ。
前を歩いていた集団に追いついた所で、
ちょうど何やら分岐点に出た。
でも道標が無くて地図にも書いてない。
何処だここ？ どっちだよ・・・
しばらく話をして左側の道に進んでみると、
結局どちらでも合流する道だったようだ。
紛らわしい！
倒木があちこちに現れ、
何故かこれが景観に妙にマッチしている
独特な雰囲気の場所に出ると、
光岳方面と小屋への分岐点だった。
上から見えた綺麗な道はやはり木道だった。
木道を少し歩くと、すぐ小屋に着いた。
いや〜、疲れた疲れた、着いた着いた！！
時間は 15 時を少し回っているぐらいで、
夕食にも間に合って良かった。
受け付けをしていた本館は
なかなか綺麗なので、まだ新しいのだろう。
でも今日は既に本館はいっぱいで、
下にある旧館なら空いているという。
本館だと廊下に寝ることになるというし、
綺麗でなくても良いから寝るスペースの
広さが優先なので、迷わず旧館にする。
おまけに 500 円引きだし〜
旧館の方へ行くと、
確かに古いので綺麗って程ではないけど、
そんなに汚いという程でもない。
それより良かったのは
1 階には数える程度の人しかいない。
また 2 階もまだガラガラみたいだ。
それに新館は室内でガスは使えないけど、
旧館は中でガスが使用出来るのも良いね。
その気になれば、お湯を沸かして
焼酎のお湯割りが飲めるじゃないか〜
ラッキー！ ( ^o^ )
普通はテント泊でない限り、
自分が寝る場所でガスは使えんからねぇ。
今日は当然早めに着いたので、
夕食前に酒を飲む。
なんせ昨日は遅かったせいで
ビールすら飲めなかったし・・・
てなことで外でビールを頂いた。
しかし新館までビールを買いに
行くにも、兎に角足が痛い。
とてもまともな歩き方をしてないねぇ。
そんなになるまで歩かなくても・・・
という程酷い状態に二人とも陥っていた。
I さんは昨日に引き続き、
濡れたタオルで膝を冷やしている。
初めての長期縦走にしては、
かなり過酷な歩きになってしまって、
申し訳なかったと思う。
私も今までの 4 日以上の縦走の中では
一番きつい内容だと思う・・・
コース的にもお天気的にもね。
今日はテントの数は少ない。
新館と旧館の間に二張り、
旧館の裏手側に一張りだけのようだ。
旧館から外に出て 1 分程歩いた所に
トイレがあるけど、新館にもトイレが無く
そこまで行かなくてはいけないらしい。
雨等の時は不便だよねぇ、
一応傘は沢山置いてはあるけど。
旧館の外の裏手側で私達は
ビールを飲んでいて、I さんが席を
外している間に受け付けをしていた人
（ 管理人？ ）が、通り掛かったので、
15 時半までに到着しなかったら
夕食は出ない話は本当か尋ねてみると、
そんなことはないという・・・？？
制約が多いのは光小屋の話で
ここはそういう制約は無いけど、
早く来ないと新館が一杯になって
泊まれなくなるから、
旧館になってしまうってことだった。
昨日のオヤジに騙された！ 全く〜
しかし光小屋は
50 歳未満は食事が出ないどころか、
宿泊そのものを断られるらしい・・・
知らずに行ったら、大変なことだよねえ−
緊急避難所としての役割もあるのに
揉め事になったらどうなるんだろう？
そのうちちょっと寒くなってきて
旧館の中でビールを飲んでいたけど、
夕食の時間になったので新館へ向かう。
食事はわりと簡単でカレーに
お吸い物が付いている程度だけど、
ビールとつまみのせいか、
食欲はあまり無かった。
I さんは相変わらずよく食べている。
元気だ〜〜〜 ( ^o^ )
食事が済んだ後は旧館に戻り、
お湯を沸かして酒を飲んだ。
I さんは焼酎のいいちこ、
私は泡盛の久米仙。
スペースが広いので
ゆったりしながら飲めて宜しい。
しばらく飲んで喋っていたら、
いつの間にか周りでは
寝始めている人が多くなっていて、
話しているのは私達ぐらいなものだった。
時間はまだ 19 時を少し過ぎた
頃だけど、皆さんお疲れなのだろう。
私達も結局１杯ぐらいを
飲んで寝ることになった。
ここは昨日までのように毛布は無いし、
小屋の造りが古くて、一つの空間で
１階も２階も一緒になっている為、
室内温度はあまり高くない。
寝具はシュラフだけだったので、
今日は 3 枚着てから寝ることにする。
電気は 20 時に消えることになって
いたらしいけど、その前にどうやら
眠ってしまったらしく覚えていない。
寝付く前に、奥の方にいたオヤジが
ラジオを聞いていたようで、
明日の天気は雨で降水確率が
70 ％ 程度だと言っていたのを
少し覚えている程度だった。
2003 - 07 - 30 （ 水 ） 雨 後ち 曇り
2 時頃だったかふと目が覚めると、
当然周囲はまだ真っ暗。
外は雨が降っているようで、
小屋を叩く雨の音が結構激しく聞こえる。
う〜ん、やっぱり今日は雨かぁ〜
まあ下山するだけだから良いけど・・・
朝食の時間が近くなり、私達は新館へ移動。
外の雨は強くなったり
弱くなったりを繰り返している。
新館の入り口で、朝食を終えて出発して
行く宴会好きのおっちゃん達と会った。
光岳方面へ行く予定だったけどこの天気
なので椹島へ降りることにしたのだそうだ。
それではお元気で・・・ と
挨拶を交わして、私達は食堂に入る。
最後の小屋食でも、やはり I さんは
相変わらずよく食べていて、
御飯を 3 杯も食べている。 笑
正面に座っていたおばちゃん達が、
凄いね〜 と感動（ 呆れ？ ）していた。
旧館へ戻って支度をし、
そろそろ出掛けようかという頃には、
こちらの客もだいぶ少なくなっていた。
レインスーツを着込んで
扉を開け外の様子を見ると、
相変わらずそれなりの雨が降り続いている。
新館で聞いた話では、明日は分から
ないけど、明後日からは晴れるらしい。
本物の梅雨明けなのかな？
一週間早かったかなぁ・・・ 等と
思いながら、まあこういうことも
あるさと小屋を後にする。
時間は 05:20 。
東俣林道までは地図時間で 04:20 、
椹島までは更にその後 1 時間程。
雨だしずっと降りだから、林道までで
5 間半から 6 時間ぐらいかな〜 と思う。
まあお昼過ぎ頃には着くだろうし、
昨日までのように長くはないから、
まあ良いやろ・・・
テント場の間から
降りの細い道へ入って行く。
雨が結構降ったのか、登山道は結構な
ドロドロ状態で、あちらこちらで
水浸し状態になってしまっている。
樹林帯の中を歩いているので、
直接の雨の影響は少ないものの、
歩き難いのと滑り易いのが結構大変。
木の上に足を置くこともしばしばあるけど、
これがまたちょっと油断していると
滑りそうになってしまう。
小屋を出て 10 〜 15 分程経った頃、
やらなくてはいけなかったことを
忘れてしまって出て来たことに気付いた。
胸に着けているペットボトルに
水を補給してくるのを忘れてしまった。
ザックの中には 1 Ｌ ぐらい
水を補給して入れてあるけど、
雨でザックカバーを掛けている時に
ザックの中身を取り出すのは結構
面倒なので、あまりしたくない。
しかし水は飲むだろうけど、
どうしようか・・・
しばらく立ち止まって迷ったけど、
ここから引き返すのはちょっと
大変だから、このまま進むことに。
胸のボトルに残っているのは
3 口分ぐらいだったので、どうしても
飲みたくなったらその時は諦めて、
ザックから水を出すことにしよう。
今はそう思っても、結局その時になると
面倒でやらない場合が殆どだけどねぇ。
登山道は沢に沿って降り、
右岸左岸と交互に進んで行く。
樹林の中の道はわりと狭いので、木の枝が
被さり気味になっている所も少なくない。
基本的に下り坂の筈なんだけど、結構登る
場面もあったりして急勾配だったりもする。
手袋は軍手しか用意していなかったので、
そのうち濡れ手袋に変わっていった。
今年は梅雨の時期が長かったので
よく分からないけど、登山道もあちら
こちらで崩れかけているような箇所や
補修してある箇所が多いような気がする。
また木が倒れている所も
結構あったような気もした。
それにしても雨の中、
展望も無くレインスーツでムシムシ
しながらの歩きは結構楽しくない。
しかも連日の長丁場歩きで
足を少し痛めている為、
降りはなかなか苦しいものがある。
途中、滝を通過する所や吊り橋を
渡る所もあり、たまに気分転換に
なるけど、やっぱり長く感じる。
前後に人の姿は殆ど見えない。
たまに後ろから小走り気味に駆け降りて
行く強者がいて、凄いなぁと思う。
あんなスピードで駆け降りて
滑らないのだろうかと心配してしまう。
時計を見ると、出発してからそろそろ
3 時間近くになろうかという時間。
それでもまだ林道までの 2/3 程しか
来てないなぁ〜 等と思いながら
歩いていると、
しばらくして道標が建っていて
林道まで 2 時間となっている。
ってことは半分ぐらいしか
まだ来てないじゃないか・・・
しかも 3 時間近くも降って来たのに、
小屋までの登りが 02:40 だって・・・
やっぱり私達のペースは
かな〜り遅いんだね−（ 苦苦苦 ）
歩いているうちにふと気付くと、
いつの間にか雨は止んでいた。
フードを頭から取り、
レインジャケットの前を開けて
歩くだけでも少しはマシになる。
降って行った先に少し開けた感じに
なっている平らな所があり、
おっちゃんが一人休んでいた。
聖岳へ行くつもりだったけど
この雨なので止めて今日はもう降り、
明日の飛行機で帰るそうだ。
九州からだというのでどちらと聞くと、
なんと熊本だという・・・
私達二人も出身が熊本だったので
その後しばらく田舎の話に花が咲く。
この方は以前は北アルプスにも行って
いたけど、最近は南アルプスが好きで、
ずっと年に 1 回通っているそうだ。
例年今の時期なら晴天続きの筈なので、
今年も期待して来たら、こんな悪天候は
初めてだそうで、勿論私もそうだった。
飛行機の予約もあるし休暇取得の
予定もあるので、天気が悪くても
仕方なく来るしかないんだよねぇと。
そういえば、昨日途中で風邪引いて
調子が悪いと言っていたおっちゃんも
同じようなことを言っていた。
普通に仕事をしていて長期休暇を
使ってしまうと、なかなか変更し難い
のが実情なんだよねぇ〜
そうなのよ、もっとフレキシブルに
出来ないものかといつも思うんだけど。
たかが 4 〜 5 日ごときで日本では
長期となってしまうのが悲しい。
前の職場にいた時はわりと職場の雰囲気が
緩やかな方で、よほど仕事が詰まって
いる時でなければ、休みを自由に
取得出来たので登山にも適していた。
4 〜 5 日の長期登山の為に休暇予定を
考えていても、週間予報で天気が良くないと、
2 〜 3 日早めたり遅らせたりしていたなぁ。
今の日本の職場事情ではこういうのは
随分恵まれた方だとは思うけど、
誰だって同じようにお金や時間、
体力使って遊びに行くなら、
天気が良いとか空いているとか
良い状況の時に行ける方が
絶対良いのではと思うけど、何故皆で
そういう社会構造を作っていかない
のだろうと、不思議に思うことが多い。
そうは言っても自分だけでは
どうすることも出来んよ・・・ と
言われそうなのだが、一人でやろうと
するから大変なのであって、
大勢でやれば怖くないし
また状況も変わるのではないのかなと
思うんだけど、どうなんだろう・・・
会社にしろ国にしろ、組織というのは
個々の人間が集まって形成しているから、
その形成元の個々人が変えようと
本気になって行動すれば、
必ず変化は生じる筈なんだけど、
何故か自分から動こうとか一緒になって
行動しようとか、そういう人が少ないのは、
やっぱり日本人特有の責任逃れ民族の
性質なんだろうかねぇ・・・ 悲しい話。
ちょっと話がずれてしまったけど、
自由に日取りを選べる現在の状況は
こういう視点から考えると、
かなり恵まれている状況だと思う。
今回は天気に合わせてという利点は
活かされなくて残念。
天気予報では晴天ベースという
話だったんだから仕方ないけどね。
山歩きリポートに戻る。
その後はだんだん傾斜が緩やかになり、
しばらくはマシな歩きになった。
今歩いている付近は視界が利いているけど、
少し先の麓辺りは雲海のように
ガスが立ち込めていて、その中へ降って
行くとまた雨が降り出してしまった。
緩やかな道も結構長いように感じる。
建物が潰れて荒廃している所まで来ると、
道標に椹島まで 01:10 と書いてあって
元気が少し出る。
林道歩きが 50 分前後あるのだから、
そうするとこの山道の降りも
あと 20 分程ということになるね〜
しかし実際にはかなり足が痛くなっていて、
30 分以上掛かったような気がする。
私は特に左膝に痛みが走りながらの
歩きになっていたので、かなり辛かった。
しばらく先で赤石ダムの緑色の水面が
見えてきたのでもう少しとは思うものの、
林道の手前の区間は急勾配の降り続き
なのでかなり厳しいものがあった。
それでも薄暗い樹林の先に
ようやく聖沢登山口が現れ、
長〜くて辛い下山がようやく一段落。
ここから椹島まで１時間近い林道歩きが
あるけど、降りでないだけかなりマシ。
とはいうものの足が痛かったので、
ソールが硬い靴での歩きは
それなりにきつかった〜〜
延々と林道を歩いて
ようやく首峠まで来ると、
椹島への近道の道標があったので
そちらに進むと、なんと最後の最後に
またしても山道の降りだった。
（ ガ〜〜ンンン、厳しい・・・ ）
痛みの為に不満タラタラの末、
やっと本当に終点の椹島ロッジに着いた。
いや〜〜 長かった・・・ 本当に。
バスの最終便は 14 時発なので、
そこに間に合えば帰ることは出来る。
とりあえずバスの受け付けの所に
行ってみると、臨時バスがあって、
あと 10 分程で出るという。
さっさと車に戻りたかったので、
手続きを済ませてバスに乗り込む。
受け付けのお姉ちゃんは愛想良かったけど、
案内人の兄ちゃんは愛想が悪かった。
バスの乗車率は半分程だったので良かった。
これで満員だったら疲れているのに
大変なところだったよ。
バスの中で、乗客が忘れ物したから
捜してくれだの、どっかで怪我した人が
いてヘリがどうのこうのというような
無線の会話が聞こえた記憶があるけど、
疲れていてあまりよく覚えていない。
外は相変わらず雨が降っていて、
車の中に傘を入れておこうと思いながら
忘れてしまったのは失敗だったと思った。
バスを降りて車まで少し距離もあるし、
第一荷物整理やレインスーツを
脱ぐ時に雨が降っているのは面倒〜
車の所で少し小康状態になって
くれないかな〜 と期待したけど
やはり駄目だった。
多少は濡れたけどしょうがない。
とりあえず車をスタートさせ、
これでようやく歩かなくて済む〜 嬉
帰り道は疲れていたので、
来る時よりゆっくり走って行く。
それにしても電車やバスを乗り継いで、
このエリアに入るのは
大変だろうなぁとしみじみと思う。
私達はマイカーだから自分の席は
確保されているし、空調や音楽、
買い物やトイレ等も自由で乗り換えも
無いけど、バス電車だとそうもいかないし
乗り換えも手間も結構大変だ。
そもそも静岡まで来るのに一苦労だ。
今回は隣の焼津で泊まれて良かったけど。
途中には良さそうな温泉も見当たらず、
結局焼津まで先に戻って
それから温泉施設に行くことに。
I さんのお宅に一通り荷物を置いてから、
近くの温泉施設に行ってみる。
健康ランドのようなものね〜
料金が 1000 円というのは安いと思う。
東京ならもっと高いよ。
ここの薬草風呂は何となく効く感じ。
匂いは、カレーのもとにコショウを沢山
振りかけたような香りが漂っている。
（ 辛そうな感じか・・・ ）
2 階に上がってみると、大広間は
お決まりのカラオケ大会状態。
時間は平日の 17 時前だけど、
毎日来ている常連さんもいるんだろう。
I さんが、帰りに買い物をするから
スーパーへ行きたいと言うので
ジャスコへ行ったけど、
地方の店舗は広いねぇ。
立体駐車場とは別に、
屋外にまた別の駐車場がある。
しかも店内に入ると、またしても広い。
空間がとても広々と感じるのは何故だろう？
天井がえらく高いからかな・・・
いつも行ってるジャスコは
そんなに天井高くないからね〜
豆腐 1 丁、27 円で売っていたのには
ビックリしてしまったよ。
いつもこんなに安いのかよ〜？
I さんはセールだからだろうと言っていた。
I さん宅に戻って写真を撮ろうとすると、
一眼レフの調子がおかしい。
電源は入るけどその他の制御が
全く効かなくなっていた。
なんちゅう−こっちゃ・・・・・
取り出した時に見たらカメラが
濡れていたので、おそらく下山中の
雨で濡れてしまったんだろう。
ザックの天蓋の中身はだいたいの
ものが濡れていたし、本体の中の
ものでも濡れているものもあった。
ザックカバーだけでは駄目なんだねぇ。
なんか良い手はないかな・・・
2003 - 07 - 31 （ 木 ） 快晴
結局、昨日も再び I さん宅に
お世話になってしまい、
焼津を出たのは今日の夕方だった。
今回のように４日間も歩いて
殆ど展望が得られず、写真もあまり
撮っていない山行は珍しいけど、
それよりも一番きつかったのは、
行程がいつもよりちょっと
長かったということに加えて、
常に荷物が重く感じて足や膝が痛く
通常のような歩きが出来なかったこと。
これが槍穂高のようにアクセスが
楽なエリアなら、またそのうち
すぐ行けるのだろうけど、
今回のエリアはなかなか簡単には
足が向かないエリアだったので、
やはり晴れて欲しかった。
山の天気は読み難いし、低気圧が
来るのは事前には分からなかったし、
まあしょうがないねぇ。
またそのうち機会を作って
行ってみるしかないかな・・・