2002/08

北アルプス

餓鬼岳

7月末の週末、突然の呼びかけにより、
ダンディ−邸にてデコボコ 3 人衆で
お酒を共にすることがありました。

その時は翌週の涸沢の企画の話が
主だったのですが、私は平日に
出掛けるので今回は欠席で話は終結。

しかしダンディ−さんがお盆の週が
夏休みということで、また私もしばらく
単独山行が続いていたこともあって、
久しぶりに一緒に出掛けようという話になり、
当初は白馬&朝日方面に 3 〜 4 日程度の
内容で話がおおよそ固まっていました。

しかし週間天気予報では予定している
週末にずっと雨の予想が続いていて、
半ば中止若しくは延期になるだろうと
思っていたのですが、日程が近付いて
くると天気の予想がだんだん良くなり、
遂に殆ど晴れの予想に変わりました。

行き先はまだ未定でしたが、
日程は金曜の夜からということだけ
ハッキリしていました。

前日、仕事の都合で会社に泊まる
羽目になり、行き先の検討の結果、
餓鬼岳に決まったのは、
何と深夜の 1 時半頃でした。

しかし画策通り、泊まりを理由に翌日は
昼で仕事を止め、午後十分準備をする
時間を設けることが出来たのです。

2002 - 08 - 09
( 金 )
千葉
立川
中央高速
梓川 PA
2002 - 08 - 10
( 土 )
梓川 PA
白沢登山口
大凪山
餓鬼岳小屋泊
2002 - 08 - 11
( 日 )
餓鬼岳小屋
東沢岳
東沢乗越
中房温泉
穂高温泉郷泊
2002 - 08 - 12
( 月 )
穂高温泉郷
白沢登山口[ 車回収 ]
中央高速
千葉


2002 - 08 - 09 ( 金 )    天気は忘れた

お盆の週で帰省ラッシュが予想されたので
早く出掛けるつもりでしたが、
1 時間程遅れて 19 時頃家を出発しました。

案の定首都高速はかなりの混雑で、
まともに走れるようになったのは
高井戸を過ぎて中央道に入ってからでした。

お陰で立川付近のダンディ−邸に
着くまでに既に 3 時間も運転してしまい、
ちょっとお疲れ気味・・・

昨年の夏、同じように泊まり明けで
夜中に移動し、中央アルプスで
バテてしまったことが頭を過ぎります。

しかし思っていた程の疲れも無く、
梓川 PA でわりと眠れたこともあって、
最初からバテることはありませんでした。


2002 - 08 - 10 ( 土 )    曇り 後ち 晴れ

土曜の早朝の大糸線沿線の道路は空いていて、
途中少し道を間違えたことはあったものの
6 時半頃には白沢登山口に無事到着し、
準備をして 7 時前には
歩き出すことが出来ました。

街の方は天気が良く、夏の太陽が
サンサンと照り付けていましたが、
北アルプスの山並みには
ガスが纏わり付いていました。

歩き出してすぐの頃に樹林帯から
外れている道がありましたが、
そこからもこれからの登山道がガスの
中へ入っていくのがハッキリ分かります。

初日のコースは白沢登山口から白沢に
沿って進み、大凪山、百曲りを通って
餓鬼岳小屋までの 6 時間半の予定です。

白沢に沿って進んでいる間は、
周囲を緑に囲まれ傾斜も緩くて
比較的穏やかな歩きが出来ますが、
木道が濡れていて少し滑り易いことや、
気温はそう高くないものの
多湿の為に体感的に少し暑かった
こと等がネックになりました。


沢沿いの付近は紅葉ノ滝、
魚止ノ滝等があり、周囲の木々も
今は夏なので全て緑一色ですが、
秋なら結構綺麗に色付くのではと
思えるような雰囲気でした。

   紅葉ノ滝     魚止ノ滝

鎖や梯子等が設置してある箇所が
結構ありましたが、途中で前方から
ドサッという音と人の叫び声が聞こえ
何だろうとよく見ると、
前を歩いていたパーティーの一人が
滑落して沢に落ちかけていました。

滑落といっても 2 m 程度で
沢の中には達していなかったので、
特にたいしたことはなかったようでしたが、
掴まっていた鎖が途中で岩場から
外れてしまったようでした。

改めて鎖に体重を
預け過ぎてはいけないと思いました。

沢から離れて本格的に稜線へ向かって
登り出すと、なかなかの急傾斜が続いて
脚の上がり方が遅くなってしまいます。

超人ダンディ−さんは全く疲れが
無いらしく、何事も無かったように
涼しい顔でサクサクと登っています。

高山植物は、薄青い色の花を沢山見た
記憶がありますが、全体的にはあまり
多くなかったように思います。

急傾斜の途中で休息を摂っていると、
何やら小動物が寄って来ました。

リスのようなオコジョのような・・・
食料の匂いを嗅ぎつけて
やって来たようでした。

しばらく急傾斜の道を登って行くと
そのうち傾斜が緩くなり、
ようやく大凪山にやって来ました。

しかしそこは全然山頂という所ではなく、
ただの登山道の通過点に過ぎませんでした。

プレートがないと本当に分からず、
ただの道ですよぉ〜 という感じです。

大凪山付近にやって来ると、
谷の方から吹き上げてくる風が
とても涼しくて爽やかな感じでした。


しばらく進むと少し広い場所があって
そこで昼食を摂ることにすると、
雲っていたことや谷風が吹くことで
すぐに汗が引き、
ゆっくりとした快適な休息でした。

時折り雲が切れて、青空と共に正面に
高い山が聳えているのが見えます。

どうやらこれが目的の餓鬼岳のようです。

休息を終えてしばらく歩くと、
だんだん雲が無くなってきて太陽光が
射すことが多くなり、暑くなってきました。

それと共に、今日最後の急な登りの
百曲りに差し掛かります。

いい加減疲れてしまっているので
脚の上がり方がかなり遅いのですが、
超人ダンディ−さんは平気らしく、
ついには木の枝にぶら下がって
運動なんぞ始めてしまいました。

私は急斜面の登りで息が切れていたので
座り込んでしまいましたけど・・・

しかし地図でよくよく確認すると、
登山口から餓鬼の小屋までは標高差で
1650 m 程もあったんですねぇ。

それでいて急勾配が多いので
私にはちょっときつかったです。

百曲りの最後は樹林帯の密度も薄くなり
炎天下の歩きに近くなっていましたが、
15 時過ぎ頃ようやく小屋に到着しました。

小屋のすぐ傍の広場では、結構登山者が
景色を見ながら寛いでいるようでしたが、
実は小屋の中に入ることが出来なくて
仕方なく小屋の外にいたという人も
多かったらしいです。


  燕岳、大天井岳への縦走路


   唐沢岳、針ノ木岳方面

普段は混む小屋ではないらしいですが、
お盆に係る土曜日の為か、ここの小屋に
しては多い宿泊人数のようでした。

水晶小屋と同じく
食事と就寝のスペースが同じなので、
人数が多い時はそれらの準備の間、
客は外に出てなくてはならないのです。

しかし悪天候でなくて良かったです。
雨だとちょっと辛いですね−

さすがに夕方遅くになってくると
寒くなってしまいました。


   長閑な夕方の餓鬼岳山頂

夕食は散らし寿司でしたが、
水不足によりお茶のお代わりが
出来なかったのが残念でした。

ようやく布団の準備が整って中に入ると、
部屋一面に布団がびっしり・・・

私は一番端になり、
壁とダンディ−さんに挟まれて
身動きが取れないような状態でしたが、
今日は登りでちょっと疲れていたせいか
わりと眠ることが出来たようでした。


2002 - 08 - 11 ( 日 )    晴れ 後ち 曇り

翌朝 4 時半頃に窓の方を見ると、
まだ真っ暗で風が強いようです。


  八ヶ岳、富士山、南アルプス

しばらくするとだんだん周囲が
ザワついてきたので外に出てみましたが、
空を見上げると東の方はいかにも
太平洋高気圧の圏内といった感じで、
八ヶ岳や富士山、南アルプスの
上空は雲も無く、スッキリした
青空が広がっていました。


   北側には不気味な雲が・・・

自分のいる真上や北の方向の空を見ると
厚そうな雲が沢山浮かんでいます。

北アルプスメインの山並みを見ると、
中腹以上稜線付近には厚いガスが
纏わりついていて、いかにも天気が
良くなさそうな雰囲気でした。


   小屋前から望む日の出

早朝のうちはまだ天気がマシで
燕岳方面も何とか見えていましたが、
小屋を出発する頃には
すっかりガスが掛かり始めて、
東沢岳辺りから先は
見えたり見えなかったりを
繰り返すようになってしまいました。


  燕岳方面のモルゲンロート

途中で西側の山並みを眺めると、
いつの間にか高瀬ダムの谷間に
虹がかかっていました。


  高瀬ダムの谷間にかかる虹

夕立ちの後に東の空にかかる虹は
お天気回復の可能性が高いので
結構なのですが、朝っぱらから
西側の空に虹がかかるなんて、
いかにも今日はこれからお天気が
下り坂ですよと言われている
みたいで、嫌なものですね〜


     東沢岳の稜線

東沢岳付近までは
時たま上空に青空が広がったりもして、
陽も射して暑くなることもありました。

ここのコースは大きな岩場が沢山あり、
鎖や梯子も結構あって
なかなか岩場のアップダウンも多く、
歩いている感じがします。

途中で急勾配の大きな下りがあり、
どうせ後で燕の稜線まで登らないと
いけないのに、もったいないなぁ−と
いうのがちょっと憂鬱でした。

東沢乗越に向かって降り始める頃には、
裏銀座の稜線もすっかりガスに覆われて
殆ど見えなくなってしまいました。

また、たま−にポツポツと小雨が降って
きたりして、本当に今日は燕岳経由で
中房温泉まで下山するのかなと、
ちょっと気が重くなってきます。

   日光黄菅

東沢乗越への長〜い下りを降っていると、
珍しく日光黄菅が咲いていました。

本当はそんなに長い下りではないのですが、
道標に東沢乗越まで 20 分と書いてあって
そう思って降っていたのになかなか着かず、
後で地図を確認するとなんと 40 分・・・
( 嘘つき! あ−疲れた )

東沢乗越でしばらく休憩をしましたが、
降り始めてからここまでの間、
燕岳へ行くかどうか結構迷っていました。

ダイディ−さんは行くだろうけど、
私は登り返しでかなり
スピードが落ちるだろうし、
今日のこの天気では、稜線上で良い
写真を撮るのはまず無理そうだし・・・

結局、口の上手いダンディ−先生に
言い包められて、とりあえず
燕岳の稜線へ向かうことになり、
すぐに急登を登り始めました。

しかし 15 分程進んだ頃、
再び小雨が降り出してきたのです。

何回か軽くポツッポツッというのは
ありましたが、目の前の稜線は
すっかりガスに覆われているし
下手すると雷の恐れもあるし、
さ〜てどうしたものかと思っていると、
どうやらダンディ−さんもちょっと
考えが揺らいできたようでした。

検討した結果、早く降りて夕方から
温泉に入るのも悪くないという話になり、
乗越まで戻ってから東沢に向かって
降り始め、中房温泉を目指しました。


激しい急坂をどんどん降ると、
すぐに沢が近付いてきました。

しかし、しばらく行った辺りで
遂に本格的な雨が降ってきました。

気温はそう高いわけではなかったのですが、
湿度が高かったせいでレインウエアを
着ると、かなりムシムシします。

沢に沿って進む間、軽い渡渉も
あったりして面白かったですが、
高巻きが急勾配で
ちょっと疲れてしまいました。

また途中で、明らかに下りの道が
あるのに川原に出てしまい、
その先に道がある筈だと思い込んで
しばらく登山道を探すのに迷って
しまったりもしてしまいました。

無事本線に戻ってからは
問題無く進んで
中房温泉に到着しました。

しばらくこちらで休みながら、
タクシ−の相乗りが出来そうな人達が
いないかと周囲を眺めていましたが、
いないようなので
合戦尾根登山口の方に行って
降ってくる人達の方を眺めました。

しかし皆タクシ−を予約していたり
マイカ−で来ていたりと、なかなか
それらしい人が見つからないので、
中房温泉旅館へ行くと、流石はこの時期、
季節運行のバスが 1 時間程後に
やって来るということでした。

バスを待つ間に随分と
空の方は青空が広がってきましたが、
山の方はガスが掛かったままでした。

私達が穂高温泉郷へ泊まる話をすると、
バスの乗客は4人しかいないし
穂高駅へ行くのに少し回るだけだからと
宿まで送って頂けることになりました。

送迎は無料だし 10 分程度なのでたいした
手間ではないですが、やっぱりラッキー!

宿に着くと
色々と準備不足な面があって、
ちょっと大丈夫かなとも思いましたが、
まあそうでもなく従業員の人達も
親切な方が多くて、結構良いところでした。

夕食は豪華で、私の細い胃腸には
少し量が多かったのか、
しばらく苦しかったです・・・


2002 - 08 - 12 ( 月 )      晴れ

翌朝、JR 有明駅まで
従業員の車で送って頂き、
電車で信濃常盤駅まで移動してから、
タクシ−で白沢登山口へ
車を取りに戻りました。

下界の街はすっかり晴れて
天気は良かったのですが、
山の方には相変わらず
ガスが掛かっていて、
稜線はよく見えませんでした。

帰りの中央道から見える筈の
八ヶ岳や南アルプスの山々も、
この日はすっかり雲が沸き立ち、
稜線はガスの中でした。