2002/06

北アルプス

上高地散策

先週、体調不良の為に苦しい思いを
しながら登った八ヶ岳の名残りである
筋肉痛もそろそろ引いてきた今週の中頃。

ダンディ− K さん達と八ヶ岳に
行くという話を頂いていたのですが、
春頃会社で大変忙しい思いをした
職場の先輩と温泉混じりの軽い
山歩きに行くことになっていたので、
そちらに参加することになり、
段取りを実施したのでした。

当初は那須連山の三斗小屋温泉に
泊まるという 1 泊 2 日の
軽いハイキング予定だったのですが、
涸沢に問い合わせたところ、
ちゃんとした登山靴なら軽アイゼン
無しでも来れますよという返事に
急遽 2 日前に内容を変更して、
涸沢 1 泊 2 日+近所の温泉泊という
内容になりました。

週の前半に強い寒気が入った為、
穂高で 50 cm 、涸沢でも
30 cm の積雪があったという情報に、
多少の不安を持ちながらも、
一面の銀世界が見れるかなと、
期待に胸を膨らませていたのですが、
終わってみるととんでもない
結果になってしまったのです。

2002 - 06 - 01
( 土 )
千葉
松本
上高地
横尾
本谷橋
横尾山荘泊
2002 - 06 - 02
( 日 )
横尾
上高地
田代池
大正池
中の湯旅館泊
2002 - 06 - 03
( 月 )
中の湯
大王わさび田
松本
千葉


2002 - 06 - 01 ( 土 )    晴れ 後ち 曇り

金曜日の夕方、実はこの日で契約が
切れるお姉さんがいるので
急に今日簡単な送別会もどきを
やるんだけどどう?・・・

私は夜から上高地へ向かって
車を運転しなくては
いけなかったので、当然不参加。

しかし同行する先輩は
絵に書いたような酒好き・・・

こんな誘いを断るはずがなく、
少し顔出してから行くから
待ち合わせ 24 時頃でも良い?・・・

普段の酒癖を知っているだけに、
『 遅れたら置いて行きますよ! 』
半分本気で言ってみる。

しかしその先輩は予想に反して
待ち合わせ場所にきちんと
時間通りに姿を現したのでした。
( ちょっとだけ不思議 )

金曜の夜のわりには OFF シーズンの
せいか殆ど混雑も無くガンガン走り、
諏訪付近で長めに休憩した後、
松本から下道を走る頃には
薄ら明るくなっていました。

2 泊目に中の湯に泊まることに
なっていたので宿まで行きましたが、
時間が早かったので
予定通り玄関はまだ開いていません。

しかし今回の予想外のトラブルは
既にここから始まりました。

どうしたことか急に腹痛に見舞われ、
がしかし宿は玄関が開いてない!!!

しばらく死ぬような思いの我慢をした後、
やっと宿の人が起きてきたので
急いでトイレを借り、
九死に一生を得たのでした。


  河童橋から眺める 穂高連峰

宿からタクシ−で上高地へ入り、
お天気の方は予想通りに晴天で、
穂高連峰も綺麗に姿を見せています。

今回はテント泊でもなく、またいつも
ザックに入れている 2L の水も
無しだったのですが何故か前回同様、
歩き出して 30 分もしないうちに、
もの凄い疲れに襲われてきたのでした。

嫌な予感が頭を過ぎります・・・
アルプス街道は高低差が殆ど無いのに、
ここでこんな疲れ方してたら、
横尾の先ではどうなるんでしょう?

そして次の明神でまたしても
腹痛の為にトイレへ Go ・・・
( なんでやねん??? )

徳沢では二輪草が沢山咲いていた
こともあって落ち着いてしまい、
しばらく横になって寝てしまいました。

次の横尾までは平坦な林道歩きで、
途中所々に坂とは言わない程の
登り坂があるのですが、
なんとこの程度の坂を上るのが
苦しくて止まってしまう程、
調子が悪くなっていたのでした。
( 異常ですよね− )

横尾でしばらく休んでいましたが、
既に 11 時近くになっていました。

今までの状態を考えると、
この先は勾配がきつくなって
くる上に雪も出てくる為、
更に時間が掛かってしまうのが
容易に想像出来るのでした。

もしかしたら途中で駄目かも・・・
だからといって今から、今日はここに
泊まりましょうという訳にもいかず、
とりあえず出発したのですが・・・

横尾を出てしばらくはまだ勾配も
無く大丈夫だったのですが、
予想通り坂がきつくなってくると、
息が激しくなってきました。

最初の方でお先にどうぞと道を
空けてもらった女性の人達にも、
あっという間に追い越されてしまい、
途中の岩場でしっかりと
根が生えてしまいました。

それでもなんとか本谷橋までは
ようやく辿り着いたのですが、
そこから先は今までの景色が一変し、
完全な雪渓歩きの様相です。

長めに休憩した後、時間を見ると
そろそろ 13 時になる頃でした。

ここからは無雪期の標準で 2 時間ですが、
今日のこの状態では 5 割増しの
3 時間でもちょっと怪しいなぁと
いうことがすぐに頭を駆け抜けます。

ちょっとどうかなぁと思いつつ、
とりあえず出発してみました。

前には人がおらず、足跡を探しながら
雪の上を歩き始めましたが、
勾配が出てきた上に雪上歩行なので、
余計に疲労感が増してきました。

普通の状態なら、アイゼン無しでも
全然平気なんですけどねえ・・・


    本谷橋上部の雪渓

本谷橋から 200 m 程
来た辺りでしょうか、
またしても本谷橋以来
2 回目の立ち往生・・・・・

さすがに先輩も、私の疲れ方が
普通じゃないことが分かったらしく、
きついようなら降りた方が
良いんじゃないのと言われて、
真面目に考え込んでしまったのでした。

横尾と涸沢の間で、この付近が
一番どうするか悩む所でした。

降りるには勿体ない、
明日は銀世界の涸沢が待っている・・・
しかしこれ以上登るのは、
今の状態では無理そうだし・・・

一番恐れたのは、途中でどうしても脚が
上がらなくなってしまった時のことでした。

前回の赤岳の時は念の為にと小屋泊なのに
ザックの底にはテントを忍ばせて
いたのですが、今回はありません。

勿論余計な食料も水も無く、
おまけに先輩は普段
山を歩く人ではないのであります。

しばしの考慮の末に出た結論は、
やはりこの状態での無理は良くない・・・
今回は安全を優先して残念だけど
降りようというものでした。

降りの方はさほど疲れることも少なく、
割と淡々と降りて行くことが出来ましたが、
下りながら頭の中ではあ−あ、
なんで・・・ という思いがひたすら
グルグルと巡っているのでした。

状況からして、横尾山荘に泊まる
以外に考えられなかったのですが、
銀世界の涸沢の無念さを考えると
とっても悔しいので、こういうことでも
ない限りこの辺の宿に泊まることも
ないだろうからこれもまあ良いかと、
無理やり考えることにしたのでした。

しかし落ち着く間もなく、
またしてもトイレに Go!
( ええ加減にせ−ちゅ−の! )

横尾山荘は新しくて、
かなり綺麗なところでした。

夕食までしばらく横になって
うとうとしてましたが、
食事だよ−と起こされ夕食。

思ったより結構、宿泊客はいました。

食事の後すぐに風呂に行きましたが、
さすがに出来てまだ 2 〜 3 年なので、
かなりの綺麗さで
且つ風呂はジェットバスでした。
( ほんとに山小屋か? )

客室は上下ベッド型の棚タイプで
真ん中に通路がある部屋でした。

両サイドが少し狭いかなとも
思いましたが、混雑期を考えると
確実に 1 人分のスペースを
確保できているわけで、
まあ贅沢なことだと思い直しました。

また布団がとても気持ち良く、
普段は枕が変わると多少疲れていても
なかなか眠れないのですが、今回は
珍しくまとまった睡眠が取れました。


2002 - 06 - 02 ( 日 )      晴れ

翌朝、まだ早い時間には前穂高や
屏風付近にややガスが掛かっていて、
いまいちの天気といった感じでしたが、
朝食を終えてしばらく
布団に潜ってウダウダした後、
8 時頃外を眺めるとガスも無くなり
爽やかな快晴の空となっていました。

なんとも見れば見るほど、
素晴らしい青空だったのです。


本来ならこの快晴の青空の下で、
白銀に輝く穂高連峰と涸沢カールを
眺めるはずだったことを考えると
なんともやりきれない心境になり、
久しぶりの大きな精神的
ショックだったのでした。


支度をし、外に出てしばらくすると、
横尾山荘のスタッフの人達が
取材のような雰囲気で、
写真撮影をされていました。


横尾山荘のすぐ傍からは、
遠くに北穂高付近の姿が
少しだけ見えるのですが、
真っ白に雪化粧していて、
見れば見るほど残念・・・・・

結局今日は上高地を散策すると
いうことで、ゆっくり昨日の
コースを戻り始めました。
まあ朝だし、わりと眠れたお陰で
昨日のような苦しさは
殆どありませんでしたが、
周囲の快晴とは打って変わって、
ちょっと心寂しい
ウォーキングでした。

連れの先輩は
上高地が初めてだったので、
明神や大正池などを巡ることにして、
思いっきり観光ハイクを
することにしました。

久しぶりに明神池に行きましたが、
日曜だったせいか、
なかなか混んでいて
いまひとつの感じでした。

先輩曰く、あの池も人がいなけりゃ
綺麗で良いよなあ−って
・・・やっぱりね。


     徳沢の二輪草


      明神一ノ池


      明神二ノ池


       焼岳


    岳沢と奥穂高岳

隊長たちと西穂高岳に行って以来、
約 3 年振りに梓川右岸を
歩いて河童橋まで行くと、
そこにはいつもの清々しい
爽やかな穂高連峰が待っていました。


う−ん、やはりいつ見ても
雲の無い河童橋からの
穂高は綺麗ですねぇ−!!

いつも天気が良ければ
写真を撮っているので、
同じ写真は結構ありますが、
やはり天気が良いと
必ず撮ってしまいます。

いつもならこれから東京へ
帰らなくてはならないのですが、
今回は近所の中の湯に泊まることに
なっているので、いつものような
憂鬱さに追われることなく、
ゆっくり過ごせました。

梓川を眺めながらビールとつまみ・・・
いや−、実に良いですねぇ!


ゆっくりした後、私達は梓川左岸を
大正池の方へ向かって歩き出しました。

途中、修学旅行生達と
沢山すれ違ったのが、ちょっと
ウザかったぐらいでしたけど・・・

久しぶりの田代池は、
静かで思ったより良かったです。
午後だったので、朝のような
瑞々しさは無かったですが、
殆ど人もいなくて
静かな雰囲気を楽しめました。

また大正池の方も、午後のせいか
人も少なく、背景に快晴の穂高を
従えて良い感じでした。


  田代池付近より 穂高連峰


     午後の田代池


  大正池から眺める穂高連峰


     大正池の枯れ木

しかし問題は、日曜の午後に
大正池ホテル前から帰ろうとすると、
交通の便が良くないということでした。

上高地 BT へ行くのなら
いくらでもタクシ−はありますが、
逆なので遠くまで行かないと
乗せてくれません。

バスも満員だと乗せてくれないし・・・
まあしょうがないし、
バスを待ってみるかということで
待っていたら、運良く次に来たバスは、
ここで乗客が結構降りてくれたので
恙無く乗車することが出来ました。
めでたしめでたし。

釜トンネルを出た所の中の湯で降りて、
中の湯旅館の送迎バスに
迎えに来てもらい旅館に着くと、
ロビーには登山客らしき人達が
沢山たむろしてしました。

おそらく日帰りのお風呂にでも
入りに来ていたのでしょう。

チェックインをした後は
すぐにお風呂に入りに行きました。

16 時を過ぎていたので、
先ほどの沢山の客達は
もう出てしまった後らしく、
お風呂は空いていました。

内湯もなかなか綺麗でしたが、
外の露天風呂に出てみると
誰もいなくて、更に一番の
ポイントは露天風呂から
穂高連峰が見えることでした。

西穂高岳は手前の山に隠れて
見えないですが、奥穂高岳と前穂高岳、
明神岳等は綺麗に見えていました。

普通なら今日のように快晴の日だと、
午後からガスが沸いてあまり綺麗には
見えないのではということでしたが、
今日は夕方になってもガスが懸かる
ことなく、暗くなるまでずっと
穂高の山並みが綺麗に見えていました。

夕食も比較的静かで、
やはり日曜の宿泊だったからでしょう。

結局その後、酒を飲むことなく
寝ることになってしまいましたが、
暑くてなかなか寝付けませんでした。

24 時頃、とうとう暑さに
負けて窓を開けたのですが、
その途端に標高 1500 m の
冷たい外気がさ−っと入って来て
これは開けっ放しで朝までは
まずいんじゃないかなという程
急激に冷えていったのです。

結局そのまま朝まで
寝てしまったのですが、
冷え過ぎることなく
快適に寝ていられました。


2002 - 06 - 03 ( 月 )      晴れ

朝食前に露天風呂に
入りに行ったのですが、
昨日同様再び良い天気の下に
穂高連峰を眺めることが出来ました。


   露天風呂 奥に穂高連峰

早朝はまだ少し巻層雲が
広がっていたのですが、
朝食の頃にはそれらの雲も
どこかに行ってしまい、
すっかり綺麗な青空が
上高地の上空を覆っていました。


    不思議な感じの雲


  安曇野から眺める常念山脈

中央の白くて高いのが常念岳。

チェックアウト時も
広いロビーに誰もいなくて、
さすが平日だなぁという感じです。

今日は時間がたくさんあるので、
穂高町のわさび田に
行くことにして宿を出ました。

松本までの上高地線も平日なので、
実にのんびりした快適なドライブで、
穂高町に向かう道のりからも
北アルプスの綺麗な山並みが
姿を現していました。

JR 穂高駅の東側の大王わさび田を
しばらく見学することにして、
前から一度見てみたかった、
安曇野の風景にでてくる
水車小屋の風景を見たり、
わさび田のコースを見て歩いたりと、
なかなか良いところでした。

わさびを作っているところだけあって、
さすがに水がとても綺麗です。

帰りはさすが平日なだけあって
殆ど渋滞もなく、明るいうちに
家に帰り着きましたが、
その後数日間もなんとなく調子が
あまり良くなく、ほんとにこの先、
山に行けるのだろうかと、
ちょっと不安な日々を過ごしている
今日この頃でありました。