薬師岳方面へ行くにはどうしても
富山側からの入山を考えることが多い。
東京方面からの移動を考えると、
長野側からの入山と違って周り込む形に
なる為、移動がちょっと面倒・・・
だからいつも敬遠していたけど、夜行列車が
上野から富山まで出ていることを発見し、
これなら急行アルプス号と同じじゃないか〜と
いうことと、富山からのバスの座席の予約が
取れたことから、遂に行くことになった。
2001 - 07 - 31 ( 火 ) |
千葉 上野 新潟 富山 |
2001 - 08 - 01 ( 水 ) |
富山 折立 太郎兵衛平 薬師岳 薬師岳山荘泊 |
2001 - 08 - 02 ( 木 ) |
薬師岳山荘 北ノ俣岳 黒部五郎岳 五郎カール 黒部五郎小舎泊 |
2001 - 08 - 03 ( 金 ) |
黒部五郎小舎 三俣蓮華岳 双六岳 西鎌尾根 槍岳山荘泊 |
2001 - 08 - 04 ( 土 ) |
槍岳山荘 槍沢 上高地 松本 千葉 |
上野駅から夜行列車に乗る。
窓側で寝ようとしているのに、
通路側に座った客が飲み帰りのお喋り
サラリーマンで、ひっきりなしに
話し掛けてくる為、喧しくて寝られやせん。
そのうち、寝たいから寝かせろと
やや強めの主張をすると
ようやく収まり、お喋りオヤジは、
首都圏内のエリアで降りて行った。
富山駅前でバスに乗り換える時に、
荷物の重さを測ることになり、
問答無用で別料金を取られてしまう。
デカいから仕方無いねぇ。
朝からお天気は上々で、
折立には 8 時半頃に到着。
準備を済ませ、いざ出発〜〜♪♪♪
登山道はまあまあの勾配で、
樹林帯の中を登って行く。
地図では太郎平まで 5 時間・・・
そう長く歩かないうちに展望が開け、
勾配も緩めになってくる。
右手の方には有峰湖が見えてきた。
歩きはそう大変なことはないけど、
空模様は結構雲が多めで、
もしかすると崩れそうな感じも。
地図時間より多少早く歩けるだろうとは
思っていたけど、なんと太郎平小屋まで
3 時間を切ってしまってビックリ〜
時間は、02:58 だった。
いくらなんでも、あの地図時間は
長過ぎじゃないのかな・・・
ブナ立尾根と同じで、最初の小屋に
宿泊させる為の戦略なんだろうか?
( そう疑われてもおかしくないぞ )
太郎平小屋の前は広くて
それなりに人はいる。
東側には雲ノ平側の展望が
広がっているけど、雲が厚い。
薬師岳の方も厚い雲に覆われていて、
今日は駄目かもしれないなぁと
思いつつ、太郎平を後にする。
木道をしばらく進むと、
降った所に薬師峠のテント場があった。
学生のグループが多いみたいね〜
テント場を過ぎると、
しばらくは狭い樹林の道が続き、
路面も岩がゴロゴロしていて歩き難い。
しかし道が少し広がり、
樹林も開け始める頃には
少しづつ上空にも青空が戻り始めていた。
樹林帯を完全抜けて、向こうに
薬師の稜線が見えてくる頃には、
殆ど晴れの天気になっていたけど、暑い!!
ちょこちょこ休みながら
ゆっくりと登って行く。
今日は登山者は少ないみたいね〜
ま−水曜日だからね。
稜線に出て歩いていると、
突然薬師岳山荘が現れた。
薬師岳山荘の女将さんは
綺麗な人だと本に書いてあったけど、
確かに綺麗な人だった♪
本当は今日薬師岳を往復しておきたかった。
なぜなら明日の工程が長めなので、
朝から薬師岳を往復していたら、
ちょっと時間的に厳しそうだったから。
でも現在の時間を考えると、山頂で写真を
撮っていると夕食の時間に間に合わない・・・
結局、この日は諦めることにして、
夕食までマッタリすることにして、
近くでのんびり過ごす。
夕食は 17 時頃で食堂には眩しい程の
夕日が射し込み、かなり良い天気。
自分でも不思議だったけど、夕食を食べてから
なんと自然に足が山頂へと向かってしまった。
誰にも会わないだろうと思っていたら、
途中で一組だけすれ違った人がいた。
剱立山方面も
素晴らしい光景が広がっている。
雲海は、山の見栄えを引き立てるねぇ。
薬師岳 山頂 2926 m
山頂には誰もいなく、
( この時間じゃ当然だろう・・・ )
とても静かで、贅沢な時間。
富山平野も全て見事な雲海〜♪
もの凄く贅沢な時間なんだけど、
さすがに時間が時間なだけに
( 既に 18 時頃 ) 小屋に戻り始める。
小屋が見えるぐらいまで降りて来た頃、
雷鳥に出会うことが出来た。
小屋に戻ってしばらくすると、
周辺がドラマティックな光景に変わり始めた。
雲海も山も小屋も、全てが夕焼けに染まり、
まさに下界では絶対に見ることは無い、
心洗われる光景だった。
しかし食後に登り始めた私を見て、
周囲の人はちょっと心配したそうだ。
( 確かに・・・ すみません )
今朝は 3 時頃起きて、小屋の出発は 03:40 。
外に出て上空を見上げると、星も月も
見えたり見えなかったりを繰り返している。
雲の流れが速く、稜線付近は完全に
ガスに包まれていて景色は見えない。
景色が見えないだけならまだ良かったけど、
ロープに沿っていても途中で登山道が
分からなくなった時には、ちょっと焦った。
無事に稜線から峠へ降りる道に入ると、
ガスが無くなり、遠くまで視界が通った。
まだ真っ暗なので景色はよく見えないけど、
遠くに点々と明かりが見えて
先に歩いている人がいるみたいだ。
水の枯れた沢沿い付近まで降りて来る頃に、
ようやく明るくなってきた。
ふと歩いていると、あれ、昨日こんな道は
通らなかったぞ・・・ という所に出た。
太郎平までは往復なので、
昨日と全く同じ道の筈なんだけど・・・
しばらく立ち止まって考えていると、
向こうから人の話し声が聞こえる。
はて、こんな道あったかな・・・?
とりあえず待っていよう。
しばらくすると男性二人組みが
やって来たけど、向こうは私を見て
熊じゃないかと怪しんだらしく、
かなり警戒して来たんだそうだ。
本来は左側の枯れた沢に沿った開けた道が
正規の道だったんだけど、私がいた方は
別の細い藪の中の道だった為、
よく見えなかったらしい。
こっちの道でも合流はするようだったけど。
テント場を通過し木道を登ると、
太郎平小屋が見えてきた。
休むには良い場所なので、
小屋前の広場で朝食の弁当を食べる。
広場にはそう人はいなかったけど、
小屋はちょうど朝食時のようで
ガヤガヤしている様子。
すっかり明るくなっているのに
太陽が姿を見せないので、
天気は良くないのかなと
ちょっと心配になる。
しかし、食事を済ませて小屋を出発し、
黒部五郎岳方面への道に入る頃には、
向こうから朝日の当たっている部分が、
だんだんこちらに近付いてきて、
空も青の部分が広がってきていた。
北ノ俣岳への稜線を進み、
太郎平小屋が後ろに小さく
見えるようになる頃には、
すっかり快晴になった。
この辺は勾配も穏やかで
のんびりした歩きが続く。
昨日に続いてまたしても
雷鳥を見てしまった。
やはり木曜だからか
前後を眺めても殆ど登山者の姿はなく、
たまに見える程度でとっても嬉しい。
写真を撮るには人がいない方が良い。
三脚を併用しているので、
自分の記念写真にも困らんしねぇ〜
北ノ俣岳付近から南側を見ると、
これまた素晴らしい眺めが
広がっているじゃないかぁ〜
左から、
黒部五郎岳、笠ヶ岳、乗鞍岳、御獄。
しかし実際は 360 度のパノラマ
状態だったので、もっと左側には
槍穂高連峰、水晶岳〜赤牛岳の
稜線等も見えているのだから堪らない。
やっぱり山は天気だよねぇ〜〜!!
毎度お馴染みの台詞だけど、
やっぱりそう感じてしまう。
黒部五郎岳への最後の登りはちょっと
大変だったけど、直下の所まで登って来ると
東側の展望が開けて、五郎カールや
雲ノ平方面を綺麗に眺めることが出来た。
黒部五郎岳 山頂 2840 m
山頂まで登ってみると、岩がゴロゴロ
した感じでそう広くはないけど、
人もそれほど多くはない。
良い眺めのように見えるけど、
反対側はすっかりガスのせいで、
何も見えない状態だった。
五郎カールに降りると、
そこは辺り一面が大きな岩だらけの
不思議なムードが漂う場所。
流れている水は冷たくて気持ち
良いけど、少し曇っていたので
雰囲気は今ひとつって感じかな・・・
ここから先は大きな勾配は無くなるけど、
狭くてちょっと歩き難い
林帯の中の登山道になる。
上から眺めた時は、今日宿泊予定の
黒部五郎小舎はそう遠くないように
見えたものの、意外に長かった。
黒部五郎小舎に着いた時はまだ昼過ぎ頃
だったけど、行動開始が早かったから
たぶん疲れたんだろう。
午後はボーっとしたり、ちょっと昼寝
したりしていたけど、雲の多い天気だし
あまり展望の良い場所でもない為、
そんなに写真を撮ることもなく、
実にのんびりした時間が過ぎていった。
しかし、夕食時には
西日が射し込む良い天気に。
明日はいよいよ槍穂高連峰を望むことだし、
槍ヶ岳までの工程だけど天気はどうだろう・・・
とりあえず工程が長いので、明日も暗い
うちに出発することにして、今日は終わり。
3 時頃に目を覚まし、準備をして
昨日同様 03:40 に小舎を出る。
今日は昨日と違って、
上空には沢山の星が輝いているね〜
小舎を出るとすぐに樹林帯の登りで、
ゴロゴロした岩場の狭く歩き難い登り。
まだ真っ暗な為、
ヘッドランプの当たる所しか見えず、
よく一人でこんな所登っているな〜 と思う。
1 時間程歩くと、ようやく樹林が減り始め、
空が見えるようになってくる。
その頃には少し明るさが出てきて、
黒だった空が青に変わっているのが
ハッキリ分かるぐらいになっていた。
稜線を進むと、
風は強いけど天気は良さそう。
三俣蓮華岳のすぐ近くまで来ると、
突然東側の展望が開けて
槍穂高連峰が目に飛び込んでくる。
う〜ん、やっぱり美しい〜〜!!
槍穂高連峰は信州側から見るより、
飛騨側からの方が自分は好き。
三俣蓮華岳の山頂に来ると、まだ時間が
早かったせいか誰もいなくて山頂独占〜♪
双六岳方面
ここから双六岳への稜線は穏やかなので、
前回同様今回も駆け足気味で進んで行く。
槍穂高連峰
程なく双六岳山頂に到着すると、
やっぱりまだ時間が早かったせいか
殆ど人はいない。
飛騨側からの槍穂高連峰の眺めは
良いと思うんだけど、
朝は逆光になってしまうのがイマイチ。
水晶岳・剱立山方面
双六岳と三俣蓮華岳の間は
いつも稜線コースばかりなので、
下の巻き道コースは
どんな感じだろうと思いながら、
いつも巻き道を眺めつつ双六小屋へ降りる。
双六小屋は登山者が出発した直後のようで、
もうあまり人はいないみたい。
小屋前のテーブルが空いているので、
朝食のお弁当を食べることにして大休憩。
双六小屋の前から鷲羽岳を眺めると、
結構恰好良い形をしているな〜 と思う。
小屋の南側にあるテント場へ行ってみると、
こちらも混んでいるようでもない。
もう 8 時頃だから
皆さん出発したんじゃないかな・・・
或いは平日だから、元々少なめなのかも。
双六池の方へ行ってみると、
向こうに笠ヶ岳の姿が見えた。
以前来た時も、朝は快晴だったけど
午後からガスがモクモク湧いたなぁ〜
今日もそのパターンかな?
戻ってきて準備をして西鎌尾根へ向かう。
樅沢岳への登りが一先ずそれなりの登り。
しかしゆっくり登ったわりには、
地図時間より全然早く
樅沢岳に到着してしまった。
ここは槍穂高連峰の展望台と言われる
だけあって、流石に眺めが絶景。
これから向かう西鎌尾根は、
地図時間では約 5 時間になっているけど
そんなに掛かる程大変なのかな・・・
槍ヶ岳まで続く西鎌尾根
以前双六小屋に宿泊した時、
荷物を小屋に置いて空身で槍ヶ岳を
往復した年配者の話を聞いたけど、
往復で 5 時間程って聞いていた。
ちょっと驚きだったけど、それが本当なら
西鎌尾根は結構楽ってことになるけど・・・
西鎌尾根をしばらく歩くと、
全然穏やかな山歩きじゃないか〜
これならわりと早めに
槍ヶ岳に到着出来るのではと
思いながら、快適に歩いて行く。
左側には赤岳や硫黄岳等、
山の表面が赤茶色となっている光景が
広がっていて、ちょっと雰囲気が違う。
途中、お父さんと小さい子供
( 小学生ぐらい ) が歩いていたりして、
ここはファミリーコースかと思ったりする。
右側はというと、
さっきまで綺麗に遠景が見えていたのに、
いつの間にかどんどん下からガスが沸いて
新穂高温泉は全然見えなくなっていた。
更に西鎌尾根を進むうちに
ガスがどんどん膨れ上がり、
この稜線まで到達しようかという勢い。
この分だと穂高はもうすぐ
見えなくなるなぁ〜 と思っていたら、
本当に間もなく見えなくなってしまった。
千丈沢乗越の手前の鎖場付近まで
来た頃に後ろを振り返ると、
山では見かける光景だけど、
稜線を境にして片方はガスの渦、
片方はクッキリという
対照的な光景になっていた。
千丈沢乗越まで来ると
槍はもう目の前に迫っていたけど、
そろそろ槍ヶ岳付近にも
ガスが沸き始めている。
あと少しなんだから早く槍に行こうと
思って最後の登りに差し掛かると、
この登りがかなりの急勾配。
この登りに入った途端、今までのペースが
ガタ落ちになるのがハッキリ分かる。
こんな短い距離なのに、地図時間が
2 時間になっているのも理解出来た。
今日は既に 6 時間ぐらい歩いているから、
多少疲れているというのもあるけど、
この傾斜はねぇ。 ( ほんと疲れる!! )
見事に途中で一度ダウンし、
ひっくり返って寝てしまった。
目先の大槍が遠い遠〜い、
全然近付いて来ないじゃないか〜!!
ゼーゼーハーハー言いながらノロノロ登って
いると、ようやく槍の肩が見えてくる。
肩に着いた時にかなり酷い顔だったらしくて
座っていた夫婦に、大変だったねぇ と
しみじみと言われてしまった。
なにはさておき、ようやく着いて良かった。
時間は 03:40 発、11:45 着。
地図時間では 10 時間を超えるコースを
休憩入れて約 8 時間だから、まあ良い方かな〜
昼を過ぎる頃、槍岳山荘の前でボーっと
ビールを飲んだのは言うまでもない。
午後になると、槍の穂先にはガスが
掛かったり取れたりを繰り返すようになり、
だんだん山荘からでも見えなく
なることが多くなってきた。
この分だと登ってもあまり景色を拝めない
かもしれないし、第一穂先に登ろうと
いう元気が既に無くなっていた。
まあ明日は降りるだけだし、
朝からゆっくり登れば良いか・・・
と勝手に理由をつけて今日は登るのを中止。
夕方まで布団の上でお休み状態だった。
翌朝窓から外を覗くと、
ガスで周囲が良く見えない状態。
朝食の後、
しばらく外に出て穂先を眺めていたけど、
一向に天候が回復するような気配は無い。
7 時を過ぎても良くなりそうにないので、
穂先には登らずに下山することに。
今日はまだ始まったばかりだし
降りでもあるので、元気に降って行く。
向こうから登って来る人達を見ていると
結構足取りが遅いけど、そりゃそうだ、
ここの登りはだいぶ長いからねぇ。
でもこの時間にここを登っているのなら、
槍沢ロッジを今朝出て来た人達か、
それか横尾山荘・・・
まあ上高地はあり得んなぁ。
ようやく大曲ぐらいまで
降りて来ると飽きてしまった。
ここの降りは長いよねぇ。
こんなコース登る奴の気が知れんと
いうのが正直な感想。
大曲を過ぎると
ようやく平坦な感じになるけど、
意外にダラダラと距離が長い。
槍沢ロッヂを過ぎると、
樹林帯の中の沢沿いの歩きになる。
槍沢に沿って歩き、ようやく横尾山荘が
見えてくると、ちょっと一安心。
涸沢からの降りと合流するので、
ここから先は知っている道だけど、
それでもここから上高地まで
3 時間近くもあるから、やっぱ長げ〜〜
小梨平のキャンプ場に着いたのは、
13 時の少し前。
お風呂に入れないかなと思って
施設の受け付けに行くと、
ビックリしたように声を掛けられた。
見ると、以前登山で徳沢から涸沢まで
一緒に歩いたことがあったお姉さんだった。
北海道から九州まで、
あちこちバイトで出掛けている人だけど、
こんな所で会うとは思ってなかった〜
しばらく話した後、ここのお風呂は夕方しか
やってないから、温泉ホテルに行った方が
良いよと言われてそっちへ向かうけど、
上空では既にゴロゴロと音がしている・・・
ここまで来てレインウエアは着たくない。
温泉ホテルまで早歩きで約 20 分。
着く寸前に少し小雨がパラついたけど、
建物に入って 1 分程すると
ザーっという凄い雨が降ってきた。
助かった〜、ラッキー!!
温泉はなかなか気持ち良く、
露天もあったけど雨の中。
でも濡れているから全然関係無し。
温泉から出てしばらくすると、
雨は小降りになっていて、
バスの時間もあったので
バスターミナルへ歩き出す。
梓川に沿って歩いていると、
途中から陽も射して晴れてきた。
さっきのは夕立だったみたい。
初日と最終日は曇りがちな天気だったけど、
終始まともな雨に遭わずに良い山歩きが出来た。
特に稜線歩きの中 2 日間が快晴の天気に
恵まれたことは、かなり幸せだったよね〜
槍の穂先には上がらなかったけど、
槍ヶ岳にはいつでも来れそうだし、
メインのダイヤモンドコースで
快晴だったことが何より良かったから、
かなり恵まれた山歩きだった。